2部分:第二話
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ケットボーラーとしては小柄ながらそのバネを活かしたプレイに感動すら覚えていた。バルセロナオリンピックの試合はビデオで今でも家に置いてある。気が向けば今でも見る。あの頃のアメリカのバスケが大好きであった。
「そういうものを見ること自体がもう歳なのかな」
不意にそう思ったりもする。何かと苦労して若さを保とうはしている。だがどうにもそれは儚い努力に終わりそうだ。それでも彼は努力を続けていた。やっていれば多少はましだろうと考えながら。
あれこれ考えても仕方のないことを考えているうちに注文した料理が来た。まずはスープである。
コンソメのスープだ。中に玉葱や人参が入っている。それを飲むとオニオンのサラダ、そしてメインディッシュのチキンステーキである。湯気と肉汁を出して皿の上に置かれていた。
「どうぞ」
「有り難う」
スープとサラダを食べ終えた彼のところにそのステーキが置かれた。持って来ているのはあの若いウェイトレスである。にこやかな笑みを彼に向けている。
「デザートは何にしますか」
「そうだね」
彼は暫く考えた後でそれに答えた。
「アイスクリームがいいな。バニラで」
「畏まりました。それでは後でお持ちします」
「うん」
ステーキは中々美味かった。鶏のあっさりとした味に濃いソースがよく合っていた。仕事で疲れた身体に心地良いエネルギーを与えてくれる。彼はそれを食べ終えた後でパンを食べ、運ばれたデザートも食べ終えてその店を後にすることにした。勘定を払ったところであのウェイトレスが扉を開けてくれた。
「有り難う、気が利くね」
「いえ、そんな」
彼女は笑ってそれに応えてきた。
「料理もよかったし、サービスもいい。あらためて気に入ったよ」
「店がですか?」
「そうだね」
本当は別のものも気に入っていたがそれは口には出さなかった。
「また来るよ」
「はい」
彼女にまたチップを渡し店の前の駐車場に向かう。そこからもうアニーが見える。こちらに向けて停められていた。そう、
こちらに向けて停められていたのだ。
アニーはヘンリーと彼女のやりとりを見ていたのだ。それも一部始終。それを見ていた彼女のボディが微かに震えていた。微かに、ではあるが。だがヘンリーも他の誰も彼女には気付きもしなかった。
それからヘンリーは昼食はいつもこのレストランで採るようになった。ウェイトレスも同じである。彼女はよく働き、明るく、元気がよかった。それがいたく気に入ったのである。
「明日は休みだったね」
ある日彼は食事をしながら彼女に声をかけた。
「ええ、明日は水曜ですから」
「残念だね。君に会えないなんて」
「けれどお店は開いていますよ」
「そういう問題じゃないんだよ。僕はここに食べ物だけをもらいに来ているわけじゃないんだ」
「
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