2部分:第二話
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てどう思ったであろうか。彼女が女性であったならば。これは言うまでもないことであろう。
アニーは沈黙していた。しかし不気味な沈黙であった。何も語ろうとはしない、そして黙って家を見据えていた。怒りすら車体から感じられていた。
二時間程経ったであろうか。ヘンリーが出て来た。にこやかに挨拶を交わして家を後にする。そしてアニーに乗り込んだ。
「只今、アニー」
当然ながら返事はない。彼はキーを入れ車のスイッチを入れた。そして動かしはじめた。そこで少しずつ違和感に気付いた。
「あれ、どういうことだ」
何故かハンドルが重いのだ。どういうわけか。彼はそれを感じて首を傾げさせた。
「アニー、身体の何処か悪いのか?」
しかし返事はない。それどころか今度はブレーキの効きも、そして乗り心地も変になってきた。しかし運転に支障をきたす程ではない。彼はそれを我慢して事務所に戻った。そして事務仕事を終わらせ別の仕事もしてその日は家に帰った。どういうわけかその日はずっと車の調子が悪かった。
家に帰るとアニーをガレージになおした。そして食事やシャワーを済ませて休んだ。家から灯りが消えた。
ガレージの灯りも消えていた。ヘンリーの家は暗闇に覆われた。筈だった。どういうことかガレージのシャッターがゆっくりと上がってきたのだ。
だがそれに気付いた者は誰もいない。中からアニーが出て来た。しかし運転席には誰もいなかった。
ライトが光った。不気味な、鈍い光だった。まるで冥府の蛍の様な。彼女はその目を光らせたまま走って行った。その行く先が何処なのか誰にもわからなかった。
翌朝ヘンリーは起きるとトレーニングウェアに着替えた。日課として毎朝ランニングをしているのだ。健康の為である。運動不足ではいざという時体力が続かず大変だからだ。彼は着替え終わると家の前に出た。
「おや?」
そこで彼は気付いた。どういうわけかガレージのシャッターが僅かに上がっているのだ。昨夜完全に閉めた筈であるのに。彼はそれを見て首を傾げた。
「おかしいな、閉めた筈なのに」
だがすぐにそれは自分の間違いだろうと思った少し閉め忘れることもある。その時はそう考えた。
そこでそれについて考えるのを止めて準備体操をしてランニングに向かった。それが終わるとシャワーを浴び、着替えて食事と身支度を済ませて事務所へ向かった。ガレージを開けアニーに乗る。
「あれ」
乗ってみたすぐにわかった。
「調子が戻ってるな」
ハンドルもブレーキも元に戻っていた。乗り心地もだ。どういうわけかアニー自身がうきうきしているように感じられる。それが何故なのかは彼にはわからなかった。
「まあ昨日はたまたまか」
そう思い事務所に向かった。そしてオフィスに入った。
「おいヘンリー、大変なことが起こったぞ」
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