暁 〜小説投稿サイト〜
相模英二幻想事件簿
File.1 「山桜想う頃に…」
] 4.21.AM6:25
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いものはある?」
「そうだなぁ…。取り敢えず、飲み物を買ってきておいてほしいかな。」
「番茶かしらねぇ…。先生に聞いてから行くわ。」
「ああ、頼むよ。」
 そう言うと、亜希はすぐに病室から出ていった。まだ警部達のことを許してはいないようだ…。
 亜希と入れ替わりに、今度は結城が入って来た。
「先輩、やっと目が覚めたんですね。」
「お前…帰らなくて平気なのか…?」
「駄目ですよ。でも、この事件を放り出して帰るなんて出来ません!」
 正義感からなのか野次馬根性からなのか…。ま、いずれにせよ、結城のことだから考えあってのことだろう。多分…。
「で、何か分かったことがあるんだろ?」
 私がそう言うと、結城は鞄から何かを取り出した。調査書類だろうが、松山警部と佐野さんはそれを見て目を丸くしていた。
「結城弁護士…それ、貴方が調査を?」
「そうですが?どこかの誰かさんは、全く役に立たないようですしね。少し黙ってて頂けますか?」
 そう言った結城の顔に、警部と佐野さんは黙してしまった…。さすがだ…結城弁護士。
「分かったことですが、山内家が堀川を名乗るようになったのは、謙継が当主になってからですね。」
「父親の死後ってことか?」
「ええ、そうです。前当主の栄吉は四十三歳で亡くなっています。死因は不明ですが、どうやら精神を病んでいたようですね。まぁ、その話はあまり関係なさそうですが。次に、堀川家の四つの分家ですが、これは山内家から続いていて、どうやら本家代々の当主が妾に産ませた子を入れていた節があります。要は受け皿ですね。」
 何だかとても不愉快な家だな…。裕福だからといって、女を遊び道具のように扱っていたのか?いや…現代も然程変わらんか…。金さえ出せば、そういうことを提供する店もある。
 だが、この山内家は…どこかが違う気がする。子供をわざと産ませ、何かに利用しているような…そんな気がしてならなかった。そんな私の考えは、次の結城の言葉によって証明されることになった。
「分家に入れられたのは男子だけです。女子は本家で育てられ、有力貴族などへと嫁がせていたようです。ですが明治から昭和にかけ、その貴族が次々に没落してゆくと、堀川家もその力を失って没落していった…そういうことですね。」
 男尊女卑…嫌な言葉だが、正しくそういった世界だった。それは理解しているが、いかな妾の子とはいえ、産ませた子供を貴族への献上品みたいに扱っていいわけない…。それを考えるだけで、私は腹がたってしかたなかった。
 だが私は、今聞いた結城の報告に引っ掛かりを覚えた。畑名家に入れられた謙之助のことだ。夢では二十二か三くらいの歳に見えた。兄弟が櫻華山へ赴き、そこで謙継が亡くなった場面にも出てなかった。では、その後どうなったのか?
「結城。畑名家に謙之助という人物
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ