File.1 「山桜想う頃に…」
Z 同日 PM9:55
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名を見付けた。それは最後まで名が出てこなかった人物…謙継の弟、兼造だ。
ハツは義弟である兼造を使って、夫の身辺を調査させていたのだ。考えてみれば、兼造は兄である謙継の右腕と目された人物だ。一緒に仕事をしていたため、妻であるハツよりも長い時間を過していた筈だ。それに…ハツは気が付いていたんだろうな。兼造が自分を好いていたことに。とすれば、このハツという女性、相当な悪女だったかも知れないな…。
だが、こちらが真実だとすれば、伝承はかなり改竄されている。ま、後世にそのまま伝えちゃまずいと思えば、いくらでも改竄出来るか…。
「京。この一件、どうやら裏が見えてきたようだな。」
私は見ていた古文書を静かに閉じて言った。皆、私が何か話すことを期待しているように、私に視線を集中させていた。しかし、私はその期待を裏切るように、たった一言口にしただけだった。
「櫻華山へ行く。」
それを聞くと、藤崎を抜かした全員が豆鉄砲でも喰らったような顔をした。
「先輩…?あの山に…何かあるんですか?」
結城が不思議そうに問ったが、私は藤崎に合図すると、彼を伴って部屋を後にしたのだった。背後から結城と亜希の声が聞こえるが、小言は帰ってからゆっくり聞くことにし、私は直ぐに櫻華山へと向かって急いだのだった。
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