暁 〜小説投稿サイト〜
相模英二幻想事件簿
File.1 「山桜想う頃に…」
Z 同日 PM9:55
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は資料の山と格闘していた。そんな中、結城が何やら見つけたらしく、私を呼んでその資料を見せた。
 それは随分と色褪せた紙束で、漢字と片仮名で書かれているためにかなり古いものだと分かった。その上、インクもかなり掠れているために読みづらい。
「先輩、ここに…。」
 私が四苦八苦しながら読んでいる中の一点を、結城は指で示した。そこには<明治廿年>と記され、何かの調査報告書の様に思えた。その為、私は紙束の表紙を見てみると、そこには機密文書の印が押されていたのだった。再び元の頁へと戻って読み進むと、そこには意外なことが記されていたのだ。
「これは…!?」

明治廿四年四月ニ起コリシハ 次男兼造ノ手ニヨルト考エラレルモノナリ。但シ 謙継氏ノ遺骸ハ荼毘ニフサレ 其ノ証拠トナリシモノハ喪ワレテイル為 調査続行不可能ト判断ス。故ニ調査ハ終了トミナスモノデアル。

 それは、あの櫻華山で起きた事故の調査書だったのだ。恐らくは、ここに別の書類と共に一部だけ混ざったのだろう。他は全く別物で、当時の杜撰さが窺われた。
 私はそれが警察が調べたものかどうか知るため、再び表紙を見た。すると、表紙の一番下、それも小さな字で何か書かれていた。
「警護隊…第四班…?」
 まぁ…今だときっと、捜査係とかそういう感じなんだろう。だが…そんなものが何故、こんな役場なんかに保管されているんだ?私は気になって、仕事中の米屋さんを呼んで聞いてみた。
「この箱のやつですね?実はこの建物、以前は警察と診療所も入ってたんですよ。大戦後になって、やっと分割されたんです。まぁ、人口も少なくて、この建物でも間に合っていたようですが…。その時、警察も診療所も、こんな風に置いてった資料なんかもあって、一応は保管してあるんです。」
 有り得ないだろ…?曲がりなりにも極秘となってる資料だぞ?いや…それだけ平和だったってことなんだろうがな…。
「で、米屋さん。ここに書かれている“警護隊第四班"っていうのは、一体どんな組織だったんですか?」
「あぁ…それですか。私が父から聞いた話ですと、表立って捜査出来ない事件…例えば、貴族や資産家などの事件扱いされなかったものを、独自に調査・解明する組織だったようです。組織と言っても、たった二人しかいなかった様ですが。」
 探偵…みたいなものか?私はそう思って、再び米屋さんへと問い掛けた。
「では、何か大事があったとして、そこに不審な点があった場合、それが地位のある人物に関していたならば、全てこの警護隊第四班が担っていた…そう言うことですか?」
「そう言って差し支えないでしょう。ですが資料が乏しく、大半は処分されてます。私が知っているものは、その堀川家に関するものと、分家の畑名家に関するものとの二つだけですから。」
「畑名家…?」
 聞いたこともない姓に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ