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相模英二幻想事件簿
File.1 「山桜想う頃に…」
Z 同日 PM9:55
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そう言うと、米屋さんはニコニコしながら私達を会議室へと案内してくれた。藤崎はファンがいて嬉しいだろうが、私と佐野さんは苦笑いするしかなかった…。
 用意してくれた会議室は、然程広い部屋ではなかった。ま、この建物の中に広い部屋なんてのは期待するだけ無駄か。
 私達が入って先ず目にしたのは、机に置かれた段ボールとコピーの山だった。それが全て…お目当ての資料だろう。
「結構ありますねぇ。」
「まぁ…これでも選別したんですが、時間が無かったもので…。中には無関係のものも混じっているかも知れませんが…。」
「結構ですよ。この短時間で、よく用意して頂けたと感謝します。」
 とは言ったものの…これは厄介な仕事になりそうだ。私達三人でこれを調べるとなると、かなり時間がかかるだろう。私がそう考えつつ椅子に座ると、佐野さんがこう言ったのだった。
「それでは、私は仕事がありますので…この辺で署へ戻ります。終りましたら、連絡入れて頂ければ迎えに上がりますので。」
「えっ!?」
 佐野さんは私が何か言い出す前に、一礼し身を翻して出ていってしまった…。入り口に立っていた米屋さんは、佐野さんが出ていった後を見てキョトンとしていた。
「逃げたな…。」
「ああ、逃げたな…。」
 私達は残る米屋さんを見ると、米屋さんは苦笑して「私も仕事に戻りますので、失礼致します。」と言ったのだった。当たり前か…。残った私と藤崎は、資料の山を見て溜め息を洩らすしかなかったのだった。

 暫くは、二人で端から黙々と資料を見ていたが、そこへドアをノックする音が聞こえた。
 私達は誰が来たのかと顔を見合せたが、直ぐにドアが開いてそれが誰かを知った。そこには、半眼でこちらを見ている亜希と結城の姿があったのだ。
「お前ら…どうしてここへ?」
「どうしてここへ?じゃないわよ!何で私を置いてったのよ!何だかバタバタしてたと思ったら、何も言わずに二人してどっか行っちゃうし…心配するでしょうが!」
「そうですよ先輩。折角ここまで出向いたのに、僕、馬鹿みたいじゃないですか…。」
 あぁ…すっかり忘れてた…。事件のことばかりで、二人のことまで気が回らなかった…。
 前を見ると、藤崎もしまったという風な表情を浮かべて固まっている。亜希と結城は、腕を組んで未だ睨んでるし…。
「あ…あのな…」
「もういいわよ!どうせ事件のこと、何か手掛かりがないか調べてるんでしょ?私達も手伝うから、さっさと終わらせましょ?」
 亜希はそう言うと、中に入って空いてる席へと座ったのだった。
「結城君!あなたもそんなとこ突っ立ってないで、早くこっちに来て手伝いなさいよ!」
「は、はい!」
 あぁ…結城がコキ使われてるよ…。後で吃驚するような請求書が郵送されなきゃ良いけど…。
 私達はそんな二人を加え、暫く
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