File.1 「山桜想う頃に…」
Y 4.11.PM7:48
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返って話を続けた。
「まぁ…もう話すことは殆んどありません。その男性は自らの事を話したかと思ったら、そのまま霧の如く消えてしまったんです。小さな桜の花弁だけを残してね。彼は自分の名を…堀川と名乗っていました。」
それで終わりとばかりに、藤崎は周囲に集まっている人達を見渡した。皆は目を見開き、信じられないと言った表情を露にしていた。まぁ…仕方無いがな。
だがあの時、湯槽で話したあの堀川と言う男が、この事件に一体どういう結び付きがあるのか?そして、亡くなった女将と仲居は、どうして死ななくてはならなかったのだろう?疑問は増す一方だが、その手掛かりと言えば、今のところ櫻華山の山桜しかない。まさか…何の関係も無く犠牲になったとは考え難いからな…。
「松山警部。この町の古い資料は、どこへ行けば閲覧出来ますか?」
私はどうしてもこのリドルを解かなくてはならないような気がした。そのためには、名士として絶大な権力を持っていた頃の堀川家を知る必要があった。
「はぁ?そんなもん…一体どうする気だ?」
「それは調べてみなくては未だ何ともね。女将は東京出身と聞いてますが、亡くなった仲居はどこだったんですか?」
「ああ…藤井は神奈川出身だったが…。」
「そうなると、この二人を繋ぐものは旅館しかありませんね。ですが、それだけで亡くなったとしたら実に不可解じゃないですか。」
「まぁ…そうだが…。」
「この町や名士だった堀川家の過去を紐解くことで、他の接点を見つられるかも知れないんです。協力して頂けますよね?」
「……。」
私がニッコリと微笑んで松山警部に言うと、警部は眉を引き攣らせて後ろにいた佐野さんへと言った。
「佐野君。直ぐに資料のある場所へ案内してやれ…。」
そう言うや、松山警部はそそくさと部屋から出ていってしまったのだった。
「先輩…その顔、かなり怖いですよ…。」
結城が表情を強張らせながら言った。周囲の亜希や藤崎は呆れ顔をして笑い、佐野さんも苦笑いを浮かべていたのだった。
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