1部分:第一話
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すか」
「いや、まだ仕事には時間があるな」
右手にある腕時計をチラリと見てそう言った。
「今見てみたいんだが何処にあるかな」
「事務所の駐車場です。よかったら御一緒しますが」
「うん、頼むよ」
所長はそれに頷き彼に案内されて駐車場へ向かった。そしてそこに停めてある彼の車を見せてもらった。所長はそれを見るとすぐに賛辞の言葉を述べた。
「いい車だね」
「有り難うございます」
「形も色もいい。立派な車だな」
「立派なのは外見だけじゃありませんよ、中身もですよ」
彼は笑ってそう説明した。
「乗り心地もね、最高です」
「ほう」
「それだけじゃなくてハンドルもブレーキもね。よくいうことを聞いてくれますよ」
「できた男だな、彼は」
「おっと、彼はないですよ所長」
ヘンリーはそれを聞いて笑って所長に対してそう言った。
「彼女と言って下さい」
「彼女か」
「ええ。プラチナ=ブランドの美人でしょう?そう思いませんか」
「ふふふ、確かにな」
所長はそれを聞いて笑った。見れば女性と言った方が近い優美な外見であった。シルバーのボディもそう考えて見ればプラチナ=ブロンドの髪に全身を覆われているように見える。ヘンリーの言葉に頷いた。
「確かに美しい人だ。どうやら君は最高のパートナーを見つけたみたいだな」
「そうでしょう」
ヘンリーはそれを聞いて笑みを得意気なものにした。
「そういうことだ。これからも頼むぞアニー」
「彼女の名前はアニーというのか」
「ええ。宜しくお願いしますね」
「わかった。ではアニー、宜しくな」
所長の言葉は戯れが混じっていた。しかしアニーはそれを本気ととったかも知れない。だがヘンリーにも所長にもそれはわからなかった。少なくともこの時は。
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