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DQ5〜友と絆と男と女  (リュカ伝その1)
9.出会いは突然。別れは必然。恋する乙女は超天然。
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し、心なしか歩みもふらつく。
服も所々不自然にシワが付き、さっきの光景が脳裏に過ぎる。

俺が思わず俯くと、
「ありがとう。これ返すよ」
そう言うと、男は俺と視線を同じにし、勝手に腰の袋へ宝玉をしまい込む。
男の瞳は、吸い込まれそうな程澄んでいた。
俺は、この瞳を知っている。
どこかで見た事がある。
それを思い出そうとしたが、男から微かに漂う、フレアさんの香りが邪魔をして、思い出す事が出来ない。
「その宝玉は、とても貴重な物だ。人にあげたりせず、大事にするんだよ」
「う、うん…」
この瞳で言われると、逆らう事が出来なくなる…

そして男は、俺の耳元へ顔を寄せ呟いた。
「フレアさんの処女は俺が貰った」
な!!?
俺は信じられない物を見る様な目で、男を睨んでいた。
男は、全く気にせずフレアさんに別れを告げる。
「それではシスター。私はこの辺で…あなたに出会えた事は、私の一生の宝です」
「まぁ…」
すげー顔を赤らめ、クネクネしている。
「あの…お名前を教えて頂けますか?」
名前も知らない相手とヤってたのかよ!
この世界のシスターって、そうゆうもんなの?
「次、お会いした時に名乗らせて頂きます。では、またお会いしましょう」
フレアさんは俺を抱き抱えると、去りゆく男を、ただぼーっと見詰めている。
男が見えなくなるまで。
そして、見えなくなっても…
普段なら、フレアさんの胸に顔を埋めるのだが、今はそんな気分になれない。
なにより、フレアさんから栗の花の匂いがして、とても憂鬱な気分になる。

フレアさんは、さっきの男の話で一人盛り上がっている。
聞くに堪えず、早々に家路につく。



<サンタローズ>

自宅付近までくると、あの男が我が家から出てくるのを発見する。
何やら怒りがこみ上げてきた。
石でも投げ付けてやろうと思い、男の後を追う。
この村は、山間にありアップダウンが激しい。
慣れない者は歩く事すら苦労する。

しかし、あの男はスイスイ村の出口へ向かっていき、俺は見失った。
村の出入り口で番兵をしている、トーマスに聞くと、
「誰も村から出てないよ!?」
じゃぁ、まだ村内にいるはずだ。
色んな人に話を聞き、絶対見つけ出す!

パパス宅前で焚き火に当たる青年の証言。
「そういえば、パパスさんの所から出て行ったよ。そしてリュカ君がその後を追っていった」
馬鹿じゃないの?そんなの分かってるよ。後、追ってるんだから。馬鹿じゃないの!

可哀想な義父を持つ嫁の証言。
「うちのお義父さん、お鍋のシチュー全部食べちゃったのに、食べてないって言い張るの!」
もう手遅れだから、生暖かい目で見守ろう。

宿屋の旦那の証言。
「誰かが宿帳に落書きしたんだ。まぁ、お客なんて
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