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(あぁ…そうか、満員になってしまったか…)」
普通の、人を乗せる馬車とは違い、荷物を載せるためだけの荷馬車に御者席以外の席は無い。
つまり、自分が乗る場所は残されていないという事だ。
しかし、これもよくよく考えればありえない事ではなかった。
護衛の人とは、商人や運び屋と契約して、守る事を専門とする者だ。 当然、そこそこに腕は立つ。
雇う側からすれば、場所や時期、またその時の状況によっては雇うかどうか判断して、護衛の数が変動するのもよくある事である。
これが戦闘が達者な傭兵が複数人であったのなら、支出を浮かせるために護衛の人を減らして、いざと言う時に守ってもらえばいい。
足元を見たセコい話ではあるが、その方が安上がりになる。
傭兵からすれば、何か問題に直面して逃げ出してしまえば金は貰えないのだから。
しかしだ……今回この場合はちょっと違う。
今日ここに来たのは物資の整理を担当する傭兵が一人。
自分の他に傭兵らしき人がいる様子はなく、荷物番もどきが一人。
だから向こうには、これじゃあほぼお荷物になる、と判断したのだろう。
仕事外とは言え……護衛として期待すらされていなかった。
「えと…じゃあ、どこに………あ、物資と一緒に…ですか。 はい……わかりました……」
じゃあ自分はどこに乗ればいいのか?
―――商人も運び人も護衛の人も、皆して同じ場所へと指差した。
それが意味するのは……物資と一緒に詰め込まれろ、と言う事である。
―――。
ガッタン。
ゴットン。
狭い。
ガッタン。
ゴットン。
暗い。
ガッタン。
ゴットン。
お尻痛い。
ガッタン。
ゴットン。
寂しいよぉ〜……。
「寂しいよぉ〜……」
おっと…つい心の声が口から出てしまった。
―――僕は一人寂しく、周りを物資に挟まれていた。
前方には物資。
左右にも物資。
上にも物資。
上にある物資に関しては、荷馬車が揺れるせいで、ちょうど自分の頭の上に乗るように位置がズレたからだ。
後ろは…荷馬車の端っこであるため、物資がちょっとぶつかったぐらいではビクともしない板の壁が佇んでいる。
そして下は…当然ながら床。
周りにある
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