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追われているのだろうか、人の流れが波のように動いていて、勢いに取り残されそうだった。
この波のような人の動きは苦手である。 団体行動は当たり前な傭兵としては問題だが。
何とかして人垣の向こうを見渡そうとピョンピョンと飛び跳ねてみる。
すると、途切れ途切れの視界に一際大きい荷馬車がちょうど物資を積み込んでいる所が見えた。
その荷馬車にはデトワーズの国章が付いていて、デトワーズ皇国の所属に連なるものだとわかった。
ようやく見つけた。
あれが、同じデトワーズ皇国の所属として自分が乗る荷馬車である。
「お、おはようございますー!」
商人らしき人と護衛らしき人と運び人らしき人にちょっと挙動不審気味に声をかけて、変な目で見られながらもなんとか挨拶から。
そして安定のヒソヒソと怖い人を呼ぶかどうか迷われるご様子。
何度も誤解が誤解にならない内に、しどろもどろに説明して、なんとか相乗りするまでにこぎつけた。
まぁ、ここまでは指示書通りですから、ここで躓いたら目も当てられない。
お仕事はちゃんとやりますよ、出来る限りね。
さて…改めて、数日前に届いた通達の内容によると、だ。
傭兵…もとい、臨時兵士としての簡単な命令を指示した書状を受け取り、それに従い現地にて細かい指示を受けるというものだ。
実にシンプル。 傭兵は雑兵も同然だから、指示するのもされるのも簡単な方がいい。
まずやる事はこうだ。
指定の日に往復便の馬車に乗って、国境線にある砦へ向かう事。
その砦には、臨時兵士混成国境警備部隊…………とても長ったらしい部隊名だけど、要は傭兵部隊がいるのだ。
そこで自分は物資の管理と整理をする係となる。
その往復便と言うのが、目の前で荷物が積まれている国章付きの荷馬車である。
なので、相乗りさせてもらおう。
「と言うわけで、乗せてください。 えっ…? 無い…?」
早速予定外の事が起きた。
うん…こんなの聞いてないです。
命令指示書により、連絡はいっているのだけれど……何と、自分の分の席は無い、らしい。
荷馬車には御者席があって、そこには一人どころか4・5人は座れるほどにスペースはある。
しかしだ…数えてみると、御者が一人、護衛の人は…1、2、3……4人……おぉっと、完全に御者席が埋まる人数である。
「
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