暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
羽と華を詠み、星は独り輝く
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。それを知るのは私じゃない。何が起きるかなど私にも分からない。だが必ず何か起きる、必ずな。
 ではお先に、良い夢を」

 疑問だらけの愛紗は首を捻った。
 ザバリと勢いよく湯船から上がった星は、上機嫌な足取りで出口に向かう。

――あなたが来たのだ。甘いことばかり考えているわけにはいかないさ。安易な判断は下さないが……敵と見極めた時はこちらとて本気で行かせて貰う。

 恋心よりも優先させるモノがある。いや……星にとってそれは間違い。

 趙子龍という武人と星という少女、二つ共を認めさせて彼の隣に立つと心を決めている彼女が、甘い時間にばかり捕らわれているわけもない。
 どちらも全力で、どちらも全開で、彼女に持てる全てを賭けて彼と向かい合う。

 ただ、彼女としても今回ばかりは少し参ったらしく、着替えを済ませた後で、グビリと酒を飲み下しながら月を見上げた。

「敵だとしても……せめて酒を飲む時くらいは友として、そしてあなたを慕う一人の女として……居てもいいでしょう?」


 夜天に煌く輝きの真名を持つ少女はやはり知らない。

 彼女の想い人が彼女の想像もつかない状況にあることも。

 彼女の想いが……彼を狂気に落とし掛けたことも。

 楽しい友との時間は、今回も手に入らないことも。




 そして狂い咲いた黒の華が彼女に残した……曹操軍を追い詰める為の欠片の大きさも、彼女は知らなかった。




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