絵本の中のフォルツ編
エピローグが終わりとはかぎらない
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「そんじゃあ、まあ、始めようか!」
ヒカルはそう言って木刀を二本用意すると一本をぱっと俺に渡す。
そうしてヒカルはうーんと伸びをする。武道館には誰もいない。いるのは2人の剣士のみ。
「俺と勝負か?」
「ああ。少し、気になってな。」
俺はそれを聞いて少し前のルスティングの言葉を思い出していた。
「ああ、ヒカルさんは天才ですから。」
「天才?」
ルスティングはそう言って研究所でコーヒーを飲みながらそう応える。ルスティグの研究室は相変わらず物でごった返していた。
「『青天の霹靂』ヒカル。これが彼の通り名ですからね。」
「青天の霹靂…?」
ルスティングはそう言ってクスリと笑ってフォルツを見る。
「青天の霹靂…彼は剣聖というべき存在ですね。この大学最強どころかライトさんやリンさんにも並ぶかもしれませんね。」
「そんな強いのか?」
「強いですよ。そりゃ。」
ルスティングは今度は数枚のトランプを取り出すと机の上に並べる。
「貴方はクラブのA。ライトさんとリンさんはJ。ゼツさんは|スペードのK。そしてランさんはハートのA…。」
「ヒカルはなんだよ…。」
「ヒカルさんは…。」
ルスティングは残りのトランプを全て持つとショットガンシャッフルでバラバラと音を立ててカードをシャッフルするとその内の一枚を俺に見せた。
「ヒカルさんはもちろん。スペードのAこれ一択ですね。」
そう言ってルスティングはため息を一つ吐き。俺はルスティグのそんな姿を見て自分もため息を一つ吐いた。
「はっ!」
俺は木刀を受け取ると横払いを放つ。それを普通にかわすヒカル。
「お、いい剣戟だな。」
「…。」
剣士というのは一撃目で実力が分かるという。フォルツはその剣戟でヒカルの動きを見て。
…まずいな。
その嫌な予感は当たっていた。俺が再び剣を構えると目の前のヒカルは大きな手振りをした。そしてヒカルの剣は…。
「さあ、剣はどこに行ったかな?」
「…。そこだ!」
俺はいつの間にか投げられていた剣に向けて剣戟を放つがヒカルはその前にジャンプして剣を取る。
「は!」
そのままヒカルは切り払いをする。俺はそれをすんでの所で受け止めて。
「ミスディレクション…か。」
「そういうことさ。」
ヒカルが俺にやったのはミスディレクション。大げさの動作で目を引き、剣を空中に隠したのだ。
「さてさて、まだまだ続くぜ?俺のMagicshowは!」
そう言ってヒカルは剣をバトンのように回して微笑んだ。
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