暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
生の罪科 2
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ーとは、近隣住民との親睦を深めながら、教会の運営資金を得る為に開催される催し物であって、娯楽ではない。
 楽しさを追求してどうする。

「貴方は正門の外で呼び込みをしていてください。私は、品物の最終点検で手が塞がっていますので」
「むー……クーちゃんの、いけず後家!」

 誰が意地悪未亡人か!

「また後でねーっ」

 プリシラと一緒に、外で客引きしてて欲しい。
 バザーが終わるまでずっと。
 とても教会関係者には見えないだろうが、二人の容姿はとにかく目立つ。
 看板係としては、文句の付けようがないのは事実だ。
 ぜひとも頑張っていただこう。
 私が居ない場所で。

「開場しまーす! 皆さん、笑顔で対応してくださいねー!」

 合図が聞こえてすぐ、敷地内にざわめきが広がった。
 正門から正面入り口の間までにびっしり並んだ机や地面に敷いたシートを覗き込みながら、たくさんの客が近付いてくる。
 信徒達が作った焼き菓子から、使わなくなった備品まで。
 教会関係の品物が、次々と飛ぶように売れていく。

 私が売り子を任されたのは初めてだが……
 特に誰にも何も言われないので、問題はないと判断しておく。
 いらっしゃいませと、ありがとうございました。
 何かを尋かれたら、身振り手振りを添えて。
 可能な限り丁寧に、分かりやすく説明。
 ハーネス大司教の言葉に従い、常に笑顔を心掛ける。
 これくらいなら、慣れればどうとでもな

「んきゃ!?」

 べしゃっ! と、盛大な音を立てて。
 小さな女の子が、机を挟んだ正面ですっ転んだ。
 顔と膝をすり剥いて、買ったばかりの焼き菓子も砕けてしまったせいか。
 女の子は地面に半身を起こした状態で、唐突に大声で泣き出した。
 周りの大人達が困ったような笑顔で話しかけるが。
 女の子は更に声量を上げて、ボロボロと涙を溢すばかり。
 大人達は、参ったねえと後頭部を掻きながら、互いに顔を見合わせる。

 ……えー、と……

「お嬢様一名、特等席へご招待ーっ!」

 もふもふの着ぐるみがトトトッと走ってきて、女の子を抱き上げる。
 目線が急に高くなった女の子は、きょとんと瞬き。
 その場でくるくると二回転した犬の肩に乗せられ。

「さあ、お嬢様! この焼き菓子を食べながら一緒に散策致しましょう!」

 差し出された綺麗な形のお菓子と、犬の美しい顔に面食らったようだ。
 頬を赤らめ、はにかみながらも嬉しそうに微笑んだ。

「クロちゃん」

 はしゃいだ様子で人波に消えていく犬の背中を見送ると。
 今度はプリシラが現れて、砕けたお菓子を拾った。
 それを机の隅に置いて、私を見据える。

「ちょっといらっしゃい。売り子は他の人
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