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逆さの砂時計
生の罪科 2
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ん! とっても良い天気よ! バザー日和よー!」
 「……。」
 よほどお手製の衣装が気に入ってるのか……信徒達が会場設営の仕上げに勤しむ中、桃色のフリルドレスを纏ったプリシラが陽気に走り回る。
 協調性も何もない彼女だが、不思議と誰からも嫌な顔は向けられず、苦情一つ聞こえない。
 膝丈の裾がひらりと揺れる度に視線が集まってる気がしなくもないが……彼女の奇天烈な格好は今更だ。多分、気の所為だろう。そんな邪念まみれな信徒ばかりだとは思いたくない。
 というか、あの衣装は一体何を目指して造形されたんだ?
 長い髪を両耳の上で括り、やはり桃色のフリル付きリボンで飾って。
 多分ワンピースなんだろうけど、何処からどう見てもリボンだらけでとにかく くどい。
 ぷかぷかに膨らんだ二の腕部分の袖とか邪魔にならないのか?
 素足に長いリボンを器用に巻き付けて……あれだけぴょこぴょこ跳ねてて、何故落ちない。
 足先と踵を露出してて靴の意味があるのか?
 「謎過ぎる」
 「謎なんて、ちょっと奥に踏み込めば、あっという間に解けちゃうものよぉ?」
 予め用意しておいた簡易机の上へ販売品を並べる私に、ねっとりと絡み付いて「うふふ」と笑うアーレスト。
 彼も、毛足が長いもふもふ仕様な犬の着ぐるみという実に意味不明な姿をしてるが、誰が用意したかなんて聞くまでもない。
 私の生存本能が強く訴える。
 関わるな……と。
 「クーちゃんも、もっと楽しみましょうよぅ。年に一度の精神解放日なのよ? いつもと同じじゃつまらないじゃない」
 バザーは、近隣住民との親睦を深めながら教会の運営資金を得る為に開催される催し物。娯楽ではない。楽しさを追求してどうする。
 「貴方は正門外で呼び込みしててください。私は品物の最終点検で手が塞がっていますので」
 「むー……クーちゃんのいけず後家!」
 誰が意地悪未亡人か!
 「また後でねーっ」
 プリシラと一緒に外で客引きしてて欲しい。ずっと。
 とても教会関係者には見えないだろうが、二人はとにかく目立つ。看板係としては文句の付けようがないのは事実だ。
 是非頑張っていただこう。私が居ない所で。
 「開場しまーす! 皆さん、来場者の方々には笑顔でしっかり対応してくださいねー!」
 合図が聞こえて直ぐ、敷地内にざわめきが広がった。
 正門から正面入り口の間にびっしり並んだ机や地置きシートを覗きながら、たくさんの客が近付いて来る。信徒が作った焼き菓子から使わなくなった備品まで、教会関係の品物が次々と飛ぶように売れていく。
 初めての売り子体験だが……特に誰にも何も言われないので、問題は無いと判断しておく。
 いらっしゃいませと、ありがとうございました。何かを尋かれたら説明。ハーネス大司教の言葉に従い、常に笑顔を
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