生の罪科 2
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の人間は不思議だ。
何故、志を同じくする者を貶めたがるのか。
アリア様がそんなことをお望みになっているとは思えないのだけど。
「汚らわしい孤っじぃっ!?」
「クロちゃああああああんっ!!」
「クーちゃあああああづぶぶ!!」
同僚を吹っ飛ばして、再び猪二頭が猛進してきた。
とりあえず、アーレストは重いので避ける。
床に顔面スライディングしたのは……
信徒で結成されているという彼の応援団に悪いことをしてしまったかな。
彼の顔に傷でも付いたら、一週間は不気味な泣き声でうなされそうだ。
「嬉しい! 私は嬉しいわ、クロちゃん! 貴方、いつもいーっつも私達を無視するんですもの。もしや存在ごと無いことにされてるんじゃないかと、毎日毎日食事が喉を通らなくて、胸が苦しかったのよ! 私!」
昨日どころか今朝もパンを二つ追加していた人間のセリフではない。
それと、頭を抱えて撫でるのは、ぜひともやめていただきたい。
長衣の裾が段々短くなっているのも……
そろそろ上からお叱りが下されそうなものだが。
改めそうもないな。
「酷いわ、クーちゃん! 私だけ避けるなんてっ!」
「アーレスト、お座り!」
「アイ、マム!」
膝を床に突けて、ぴしっと背筋を伸ばすアーレスト。
犬か。
「ねえねえ、クロちゃん。来週、教会主催のバザーがあるでしょ? 今回は私達と組まない? 出し物を考えるの!」
「いえ、私は経理担と」
「一緒に! 考えない!?」
きらきらと瞳を輝かせながら迫られてはもう、何も言えない。
言い返すとロクな目に遭わない気がする。
彼女が絡むと、必ずどこかから奇妙な悲鳴が聴こえてくるのだ。
聴こえてるうちは、まだ良い。
自分が上げる側になるのだけは、断乎として遠慮したい。
「……お好きにどうぞ」
「ふふーん。楽しみね、バザー!」
「私も楽しみー! ところで、もう動いても良いかしら、プリシラあ?」
「三回回って、にゃあ!」
いや、そこは わん じゃないのか。
「ぐるぐるぐる、にゃあ!」
そして、実践するのか。
……なんなんだ、この二人は……。
『レスターが奪って殺した以上に、迷える生命を救いなさい。それが君への罰だよ、『クロスツェル』』
私が『レスター』という名前を持っていたことは、周知されていない。
私の生まれや育ちも、ハーネス大司教の他には数人しか知らない。
彼らは決して、私を『レスター』とは呼ばないから。
『レスター』はもう、死んだのと変わりない。
なんて、すごい屁理窟だ。
でも、中央教会に住んでみて分かった。
アリア様は、世界中で多くの人間を救っていたんだ
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