生の罪科 1
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黒へ、微妙に変化してた。
もうすぐ夜明けが来る。
「…………」
テオは……死んだのだろうか。
僕を庇って、死んだ?
お母さんと同じように、殺された?
……違う。
僕が、殺した。
僕が汚いから。
汚い僕に触っちゃったから、綺麗なテオが死んだ。
「……ぁ……」
僕のせいだ。
僕が生きてるから悪い。
悪が、善を殺した。
僕が、お母さんとテオを、殺した。
「……あ、あぁあ……」
痛い。
体中が痛い。
胸が痛い。
心が痛い。
…………心?
そんなもの、僕にあったのか?
無かったから、悪なんじゃないのか?
心無い行為をくり返したせいで、テオが、善が死んだんじゃないのか!!
「う……あ……あぁあぁああぁぁああああ!!」
お母さん……テオ……ごめんなさい。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!
僕が殺した。
僕が二人を殺した。
それでも、殴られた体を痛いと思ってる。
今も生きてる。
僕は、悪は、生き続けてる。
二人よりも先に死ぬべきだった僕が。
こんなに罪を重ねてもまだ生きていたいと。
どこかを目指して歩いてる。
「ごめんなさいっ……ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
テオがくれた銅貨三枚を握りしめて。
聞こえない相手に赦しを乞い、叫ぶ。
答えてくれないと解っているのに。
どんなに願ったって、赦されない罪を犯してしまったのに。
「僕は……、人間は……どこまで……っ!」
アリア様。
答えてください、アリア様。
僕は汚いです。
綺麗なものを奪って壊して殺して、それでもまだ足りないと歩いてる。
赦しを求めて生き続けてる。
これが本当に罪だと言うのなら、何故……!!
何故、僕を真っ先に殺してくれなかったんですか!
お母さんでも、テオでもなく!
兵士達や僕を罰してくれていれば、二人は救われていたのに!!
何故、この世界の悪を放置するのですか、アリア様!!
「……ぼく、は……」
白い光が地平線に昇る。
暁の空を染め変えて、僕を照らす。
いっそ、この光に焼かれて燃え尽きてしまえたら良いのに。
僕の影は諦め悪く地面に形を持って、光から逃げるように伸びていく。
……僕という存在は……どこまで醜いのだろう……。
「レスター」
「…………?」
いつから居たのか。
声がするほうに顔を向けると。
馬車を背後に控えさ
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