生の罪科
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「……あ……」
開いた目を、驚いてるテオの顔が埋め尽くした。
引き剥がされた筈のテオが、僕の体を抱えて……
「……ごめん……ね……」
ずるっと滑り落ちたテオの背中に、男が振り下ろした農耕具が刺さってる。
「テオ……テオぉ!?」
男が動揺して……僕は……
「き……っさまぁあぁぁあッッ!!」
呆然とする僕は、逆上した男に殴られた。蹴られた。体中をぼこぼこに殴られ、左腕がありえない方向に曲げられ。男の怒声に他の村人が駆け付けるまで、それは延々と続いた。
「…………」
ずるずると足を引き摺って、荒れた大地を一人で歩く。ふと見上げると、空の色が微妙に変化してた。もうすぐ夜明けが来る。
テオは死んだんだろうか。僕を庇って死んだ? お母さんと同じに、殺された?
……違う。僕が殺した。
僕が汚いから、汚い僕に触ったから、綺麗なテオが死んだ。
「……ぁ……」
僕の所為だ。僕が生きてるから悪い。悪が善を殺した。
僕が、お母さんとテオを、殺した。
「……あ、あぁあ……」
痛い。体中が痛い。胸が痛い。心が痛い。
……心?
僕にそんなものあったのか? 無かったから悪なんじゃないのか。
心無い行為を繰り返した所為で、テオが……善が死んだんじゃないのか!
「う……あ……あぁあぁああぁぁあ!!」
お母さん……テオ……ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!
僕が殺した。僕が二人を殺した。
それでも殴られた体を痛いと思ってる。今も生きてる。僕は、悪は、生き続けてる。本当に死ぬべき僕が……罪を重ねてもまだ生きたいと、何処かを目指して歩いてる。
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
テオがくれた銅貨三枚を握り締めて、聞こえない相手に赦しを乞い、叫ぶ。答えてくれないと解っているのに。どんなに願ったって赦されない罪を犯してしまったのに。
「僕は……人間は……何処までっ!」
アリア様……アリア様。答えてください。僕は汚いです。綺麗なものを奪って壊して殺して、それでもまだ足りないと歩いてる。赦しを求めてる。これが本当に罪だと言うのなら、何故……何故、僕を真っ先に殺してくれなかったんですか! お母さんでもテオでもなく、兵士達や僕を罰してくれていれば、二人は救われていたのに!!
何故この世界の悪を放置するのですか、アリア様!!
「……僕は」
白い光が地平に昇る。暁の空を染め変えて、僕を照らす。地面に少しずつ伸びる影。
「レスター」
「……?」
いつから居たんだろう。声がするほうに顔を向けると、馬車を控えさせた真っ白な服の男性と目が合った。
「やっと見付けたよ、レスター。遅くなってすまなかった
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