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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
53.激戦外
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こんなことができるのなんて同種でなければありえない。

「また援軍かァ? 何人来ても同じ結果だってェのに」

 この場には決して似つかわしくない声がした。
 鼓動が早くなる。息が苦しくなっていく。
 恐る恐る声のした方へと首を動かしていく。
 まるで油切れで軋む人形のようにゆっくりと振り返る。
 倒壊した建物の上に立膝をついて座る人影。雲間から差し込む月明かりがその姿を照らし出す。月明かりが反射して輝く金色の髪。口元に浮かべる不敵な笑み。そして闇夜でさえ禍々しい光を放つ真紅の二つの瞳。
 身体中に走る悪寒。一層震えだす足。
 柚木の本能的な部分が告げている。
 この金髪の吸血鬼が柚木たちが止めなければいけない相手だということが……
 しかしそんな考えとは反対に身体はピクリとも動こうとしない。

「どいつもこいつも骨がなくてよォ。少しは俺を楽しませてくれるんだろうなァ?」

 金髪の吸血鬼がわずかに下へと視線を向ける。
 つられて柚木もそちらを見た。
 今までの戦闘で瓦礫とかし燃え盛る建物。地面は形すら保つことができないほどに隆起、陥没してしまっている。
 そこに横たわるのは三人。大柄の男性とツンツン頭の青年、赤い髪の青年が倒れて動こうとしない。

「アレイストさん……海原さん……」

「なんだ知り合いだったのかよォ? そいつらならもう手遅れだ」

「うそ……でしょ……」

 そんなことがあるわけがない。ありえていいわけがない。
 二人の“神意の暁(オリスブラッド)”を相手にして勝てるわけがない。それにあの赤髪の青年も多分、“神意の暁(オリスブラッド)”の一人であろう。確かに眷獣の強さにはある程度の実力差はある。相性だってある。
 しかしそれを含めたとしても八番目の眷獣、“狩人の二牙(アルテミス・ストレ)”と四番目の眷獣、“海王の聖馬(ポセイドン・ユニコール)”を相手にして倒すなんてありえない。
 そんな規格外の化け物の眷獣がいていいわけがない。
 ───逃げなくては。
 一人で勝てるような相手ではない。
 もしかしたら全員が万全の状態で束になっても勝てるかどうかすらわからなくなってきた。

「なんだァ。来ェならこっちから行かせてもらうぞ」

 不敵な笑みを浮かべて金髪の吸血鬼は指の骨を鳴らす。すると倒壊した建物の陰から何かが這い出てくる。
 まるで二つの宝石が埋め込まれたような綺麗な瞳。風になびく無数の長い髪。体長三メートルを超える長身の女性だ。
 一瞬、人かとも思ったがその考えは否定される。風で髪がなびいているのではない。髪の毛が蠢いている。それもその一本一本に赤い二つの瞳がある。蛇だ。
 髪の毛が蛇の怪物。メデューサという名前が脳裏によぎる。見たもの全てを石
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