暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
53.激戦外
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に負けることなんてありえない。しかし、なぜかはわからないが金髪の吸血鬼ならばどれだけ束になろうともいとも容易くそんな状況でさえもひっくり返してしまいそうな気がする。
「ね、ねえ……今聞くことじゃないかもしれないんだけど……」
少女は重々しく口を開いた。
彩斗はわずかに歩行速度を落として無言で頷いた。
「さっきのことなんだけど……なんで君は“夢幻龍”を使うことができるの?」
自分が思っていた質問とは違って動揺する。
そもそも質問の意味がわからない。
“夢幻龍”は多分、彼女が使っていた刀の名前であろう。しかし、それを使うことができるとはどういうことだ。
「どうしてと言われても……」
あの刀を使用しているときはなんて目の前のものをどうにかするという曖昧なイメージだけだ。それが結果的に落雷や凍結現象を引き起こしている。
意識してやってはいるが意図してやっているというわけではないのだからだ。
解答を探そうと頭を巡らせるが答えが出る気配はまるでない。
二人の間に沈黙が訪れる。少し遠くの方では、激しい爆音がしている。
「ねぇ、あそこに誰かいるよ」
少女が指差す方向へと目を凝らす。
茶色の腰にかかるくらいの長い髪。白いチュニックとロングスカートはかなり汚れている。
見覚えのある姿に彩斗は闇夜を睨みつける。
「……母さん」
ついに見つけた。緒河美鈴。彩斗の母親であり、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の力を継ぎし者の一人。
安堵感か一気に力が抜けそうになる。
すると美鈴もこちらの存在に気付いたようだ。彩斗たちは重い足を必死で動かしながら彼女の元へと向かっていく。
「……彩斗くん、やっぱり来てたのね」
呆れたようにも、悲しむようにも、喜んでいるようにも見える表情で美鈴は微笑む。
彼女は彩斗の腕の中でぐったりしている白衣の女性を見て全てを察したようだった。
「まだ息はあるみたいね。でも、京子がやられたってことはかなりまずい状況ね」
白衣の女性の脈を確かめながら異様なまでに冷静に美鈴は語る。その冷静さには狂気すら感じられるほどだった。
そのことを口に出そうとしたが今は関係がないので寸前で飲み込んだ。
「……なんでそんな冷静でいられるんですか」
彩斗が飲み込んだ言葉を代わりに口にしたのは後ろにいる少女だった。
「こうなるってこと私たちは理解した上でこの
祭典
(
たたかい
)
に望んでるの」
「それでも……仲間がこんなにボロボロになってるのに……」
「私たちはただ協力関係にあるだけ……仲間だなんて誰も思ってないわよ。もちろん柚木ちゃんもね」
その言葉に我慢できなくなった少女は手に持っていた“夢幻龍”を美鈴へと向
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