12部分:第十二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
第十二章
「間違えないようにして」
「何時でも」
「来るな」
廃水はその生ゴミを食べ終えた。そうして次第に囮の工員達の方に近付くのだった。
「来た!」
「遂に!」
「だがまだだ」
しかしここで工場長は言った。
「リフトの動きは早い。いいな」
「ええ、わかってます」
「だからこそですね」
「焦るな」
スイッチのところにいる工員達にまた告げた言葉だ。
「絶対にだ。焦るな」
「はい、それじゃあ」
「ここは絶対に」
「まだだ」
工場長は彼等の言葉を聞きながらタイミングを見ていた。廃水は次第に近付いてきている。
「まだだぞ、いいな」
「あと少しですね」
「そうだ。少しだ」
学者に対しても応える。彼もまたタイミングを見計らっていた。何時でもできるようにだ。タイミングを見計らい緊張の中に身を置いていた。
そして廃水が来た。それを見て彼は。遂に叫んだのだった。
「来たぞ!」
「はい!」
「今ですね!」
「そうだ、スイッチを入れろ!」
工場長はスイッチのところの工員達に対して叫んだのだった。
「今だ!」
「わかりました!それでは!」
「スイッチオン!」
実際にスイッチが置かれた。その時廃水は驚くべき速さで床を這ってきていた。あと少しで囮の工員達を飲み込もうとしたその時に。スイッチは押され彼等のリフトがあがった。
それで囮の工員達は何とか助かった。廃水は彼等を飲み込むことはできずそのまま空を飲むだけであった。しかしそこに感情は見えない。
「助かったな」
「ああ、間一髪だったな」
囮役を務めていた行員達はここで胸を撫で下ろしたのだった。
「もう少し遅かったらな」
「いいタイミングだったぜ」
そしてスイッチのところにいる同僚達に笑顔を向けるのだった。
「おかげでな。助かったぜ」
「おうよ、上手くいってよかったぜ」
「何とか助かったな」
「よし、後はだ」
「今です」
今度は彼等の番だった。学者が工場長に告げた。
「今こそ溶接炉を」
「動かすぞ」
「どうぞ」
学者はまた彼に告げた。
「今こそこの炎で」
「よし、行けっ!」
工場長はまた叫んでボタンを押した。すると溶接炉の窯が動きそのうえで中にある炎を出すのだった。炎はマグマそのもののどろどろとした状態で廃水の上に落ちた。
廃水はそれにより瞬時にして消え去った。しゅうしゅうと白い蒸気を出して消え去った。これで全ては終わったのであった。
「終わってみれば一瞬だな」
「ええ、確かに」
誰がどう見ても廃水はそれで完全に消え去った。後には何も残ってはいなかった。その赤いマグマが急激に冷えていっているだけであった。
「これで終わりです」
「やれやれといったところか」
工場長はここで大きく息を吐
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ