宇宙編
グラフィー占領編
第6話 怪物
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「ひゅー!すげぇ動きだな。」
フランの視線の先にあるMS。
まるで蝶のように宇宙の小隕石の間を縫って飛ぶそのMSは、時に美しく、時に妖艶な紫の塗装と貴婦人のようなスカートアーマー。
「見に行ってみよう。」
「見るって何を?」
とぼけた顔を晒すフラン。
「見てみたいだろ?パイロットだよ」
「じゃあ、ゴツいおっさんに昼飯かけるぜ!ルシオンは?」
こいつ、こういう所ばっか子供だな。
「じゃあ、僕は…」
MSデッキーー
「MS、着艦するぞぉ!」
一際大きな整備長の声が響く。
膝を曲げ、佇んだ紫のMS。
その腹部からゆっくりと小柄なパイロットスーツが姿を見せた。
「おいおい、まじかよぉ…」
「当たったんじゃねぇのか?ルシオン!」
喜びも混じったような興奮を隠せていないフラン。
MSデッキの整備兵達に挨拶をしつつ、こちらに向かってくる貴婦人の主。
「どうも、今日付けでここに配属になります、ナナ・リーブルズです!」
元気良く挨拶を交わした後、軽く微笑んでブリッジに向かっていく彼女。
「なんでわかったんだ?パイロットが”女の子”だって!」
「うーん、勘…かな?」
「しっかし驚くよなー、あんな少女がMSパイロットなんてさ。」
「強化人間だよ、彼女は」
「強化人間??」
強化人間。軍の教本にも載っている、人口的なNTで主に連邦軍の過激派、ティターンズが研究を先導していた。今自分達がいるのも、元ティターンズの宇宙基地、レーモ7である。グラフィーと最も近く、月との中継基地でもあるここは、奴らジオン残党の次の目標になると、参謀本部は判断した。
「防衛任務ねぇ。きつくなりそうだよな。」
「ああ、こっちのMS隊だって、ティターンズの旧式ばかりだし。けど、だからこそ僕たち新型のMS隊に責任が掛かるわけだろ?」
「新型ってもテスト機だぜ?」
昼飯を半分僕に取られたフランが不機嫌そうに言う。
「グラフィーが落ちてからどれくらい経った?」
きょとんとしているフラン。
「なんだよ急に。大体一週間かそこらじゃないか?」
そろそろか。
「艦長より、本艦クルーへ。たった今敵のMS隊と思わしき機影を確認した!MSパイロットは第一種戦闘配置??」
「やっべ、行くぞ!」
嫌な予想は良く当たる。
ルシオンはそう思った。
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