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藤崎京之介怪異譚
case.6 「闇からの呼び声」
X 12.19.PM7:41
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められる。王にさえ煙たがれる筈だ。
 しかし…不慮の事故だったらどうだろう?それであれば責められることもなく、公爵にとっては好都合というものだ。
 だが、エリーザベトは生きていた。その誤算は公爵を震え上がらせたに違いない。
 その後のエリーザベトには、王がわざわざ遣わした乳母がつくことになったのだから…。
「しかし…こんな公爵が領主なんて、民が知ったらどうなっただろうな…。」
 溜め息混じりに俺が呟くと、メスターラー氏はそれを聞き取って言った。
「知っていたようですよ。ですが…彼の機嫌を損ねると、公爵はその家族でさえ領地から追放したそうで、民は常に見て見ぬふりをしていたらしいです。」
 とんでもない暴君だな…。だとしても、公爵は王より強いわけじゃない。曲がりなりにも領地を預かる公爵なのだから、酷ければ王の耳にも入った筈だが…。
 まぁ…現代社会にしても、表と裏の顔を使い分けてる地位ある人間なんてごまんといるし、この公爵にしてもまた然り…と言うことなんだろう。
 全く…虫酸が走る…。
 人の欲が欲を呼び、それが人の身を滅ぼす。それを解ってながら、人はなぜ同じ過ちを繰り返すのか…俺には理解出来ない。それが人の性だとしても、またそれに打ち勝つだけの精神だってある筈だ…。
 俺はそんな答えの出ない問いを自分に投げ掛けながら、再びメスターラー氏の話に耳を傾けたのだった。




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