case.6 「闇からの呼び声」
V 12.10.PM8:50
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エンハールト侯爵領地の一部として暫定的に治め、この時の農地改革が成功した功績から正式な統治者として認められています。ですが、農地改革はヴェッベルグ伯の遺志から行ったものなので、エンハールト侯がこの土地を欲していた訳ではないようですね…。」
何が何だか分からない…。何人もの人物が入れ替わり立ち替わり…。
だがその中で、やはりエルネスティの存在だけが妙に引っ掛かっていた。
「フリッツ。この二人のエルネスティに、接点は全くないのか?古文書のどこかに、些細なことでも書かれてはなかったのか?」
今まで黙って話を聞いていた父が口を開いた。父も以前からメスターラー氏と面識があったようだ。
「京一郎さん。そう簡単に分かるようなら、もう当に解決していると思いますが?これから普段閲覧出来ない古文書の閲覧許可をとり、そこから次の調査をするのですが、それでも分からない場合…別の手段を取ります。」
「別の手段?」
俺が不思議そうに聞くと、隣で父がそれに答えた。
「彼はバチカンにも政府にも顔がきくんだ。彼はああ見えて結構な遣り手だよ?バチカンや政府に貸しがあるからね。」
「一体…何をやったんだ…。」
俺は顔を引攣らせながメスターラー氏を見、聞こえないよう小声で呟いた。父はただ笑ったままで、それ以上は何も話さなかった。まぁ…話すことが出来ないようなことなんだろうが…。
「しかし…それが正しいとして、あれはどう説明するんだ?」
宣仁叔父が顎に手をやりながら言った。
「あれ…とは、聖アンデレ教会でのことですか?」
「そうだ。遺体はないにせよ、ヴェッベルグ伯の墓所がある教会で神父が殺められ、その亡骸がドミニク神父を襲ったのだ。こんなことが偶発的に起きよう筈はなく、それ以上に、この時代にわざわざ亡骸を動かすとは…。悪魔が関与していると考えて問題はあるまい。恐らくは、アンデレ教会やこの町にエルネスティという人物が関係している…ということだ。」
「宣仁さん。未だ調査は半ばですし、これからまだ別の資料も出てくるでしょう。元凶が確定しなければ堂々巡りですからね。もう暫くフリッツに頑張ってもらうしかありませんよ。」
宣仁叔父の言葉に、父は溜め息混じりにそう返したのだった。するとそこへ、徐にアウグスト伯父が口を挟んだ。
「では、ケルンにあるエルネスティの墓とされる場所へ行ってみるかいの?」
「は?墓…って、あるんですか?」
俺は驚いた。今までの話からでは生年没年どころか、どこで生まれどこで死んだかも分からない。そんなエルネスティに…墓があるなんて考えもしなかったのだ。
「ま、不思議に思うのも無理のない話じゃ。このエルネスティの墓も中は空になっとるしの。先に話した奴が滅ぼした村は、現在のケルン近くにあったそうじゃ。そこの伝承には、どうやらエルネスティの祟
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