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藤崎京之介怪異譚
case.6 「闇からの呼び声」
U 12.6.PM1:44
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配性の奥さんみたいだな…。相模の奥方の亜希さんもこんな感じだし…って、こんなこと田邊に言ったら、もう止まらなくなるからいわないけどな…。
「それで何かあって演奏会が中止にでもなれば、先生の叔父様が責任を負わされるんですよ?聞いてますか?」
「ちゃんと聞いてるよ…。」
 まぁ、本当に心配してくれてるんだから、これはこれで感謝しなくちゃならないんだろうが…やたらと長い。どこかで切らなくてはな…。
「藤崎先生。今、宜しいですか?」
 そんな中へ団員の一人がやって来た。俺はこれ幸いと、直ぐにその団員へと歩み寄った。後ろでは田邊の舌打ちが聞こえたような気がしたが…気のせいにしておこう…。
「月出、お前が来るなんて珍しいな。どうしたんだ?」
「曲目で幾つかブロックフレーテが二本入ってるのがあるんですが…どうするのかと思いまして…。」
「…え?櫻井はどうしたんだ?」
 そう言った俺に、月出は半眼になって言った。
「先生…櫻井さん、腱鞘炎でストップかかったじゃないですか…。」
 俺は蒼くなった…。さっぱり忘れてたのだ…。
 楽器をオーボエ奏者などが持ち替えても良いのだが、その代役が居ないのだ。櫻井がその役だったからな…。故に、もう一人は必要になったのだが…トラヴェルソとブロックフレーテを共に演奏できる演奏家なんて…直ぐには見付からないだろうしなぁ…。安井はトラヴェルソだけだし、今谷はオーボエとオーボエ・ダ・モーレで手一杯…。
 ブロックフレーテとはリコーダーだが、バッハのこれは桁外れに面倒なのだ。恐らく…バッハ自身は演奏しなかったからだろうが、現実的に無理な音さえ書いてあるため、かなりの力量が演奏者に求められるのだ。
「分かった…叔父に頼んでみる。取り敢えずは両方のパートを練習しといてくれ…。」
 横では田邊が呆れ顔で俺を見ている。まぁ…副業で走り回ってた上、団員の健康状態を把握しきれてなかったのだから…言い訳すらできないな…。
「はい。でも…明後日までに間に合わないと、練習時間がきついと思いますが…。」
「それも分かってるよ。直ぐに話に行くから安心してくれ。」
「では、お願いします。」
 そう言って月出は部屋を出ていった。残った俺と田邊は、互いに溜め息を洩らすしかなかったのだった。
 その後、俺は直ぐに宣仁叔父の部屋を訪ねたのだが、生憎と叔父の姿はなかった。そのため、俺は宣仁叔父を探して聖堂内を暫く歩いていたが、ふと聞き覚えのある声がしたため、俺は声のする方へと歩みを進めた。そこからは宣仁叔父の声も聞こえてきたのだが…。
「父さん…何でここへ来てるんだよ…。」
 俺はそこへ行くや、叔父と話している相手にそう言った。
「あぁ…見付かったか。義兄さん、だから見付かると言ったじゃないですか。」
「そうだなぁ…こうもあっさりと見付か
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