case.6 「闇からの呼び声」
T 12.5.AM8:11
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オルガン演奏会から数日が過ぎた。大聖堂のオルガニストとしての仕事もあるが、町や教会からの演奏依頼が増えたため、俺は多忙を極めていた。
「先生、これじゃ仕事で手一杯になってしまいますよ!カンタータとオルガン全集の録音も平行して進めないとなりませんし、いい加減休みを取っておかないと体が持たないですよ!」
「田邊君…それは充分承知してるんだが、どれも断る訳にはいかないんだ…。」
俺は溜め息混じりに田邊へ言った。田邊はムスッとした顔で俺を見て、間を置かずに言った。
「それじゃ、エクソシストの仕事を蹴って下さい!」
「…それこそ無理だって。田邊君、君も知ってるだろう…。」
今日は朝からずっとこの有り様だ。事の発端は、宣仁叔父が受けてきた依頼だ。
叔父が受けてきたのは、この町に古くからある聖アンデレ教会からのもので、教会の地下に眠る悪魔を払ってほしいというものだった。なんでも、二百年に一度禍をもたらし、多くの人々が犠牲になるんだとか…。その二百年が来年にあたり、迷信とは思いつつも宣仁叔父へ相談することにしたのだそうだ。
教会は先手を打ちたいようだが、そもそも何故今になってエクソシストを招こうなどと考えたのか?この二百年、何も手を講じなかった訳ではないだろうに…。
「ですが先生。貴方に何かあれば、天宮さんにもアウグスト氏にも迷惑が掛かります。もし何かあったら僕…川へ飛び込みますよ?」
「止めなさい!何てこと言うんだ…全く。分かったよ、少しだけスケジュールを削るようにするから。」
「絶対ですよ!」
「分かった分かった…。宣仁叔父とアウグスト伯父に言って、なんとか調整するから…。」
そう言うや、俺はまだ言い足りなさそうな田邊を残し、そそくさとその場を後にしたのだった。
今日は今からミサの打ち合わせなのだ…。とても田邊の小言に付き合っている時間はない。
「丁度良かった。これからお前を呼びに行こうと思っとったんだ。」
俺が廊下を歩いていると、前から宣仁叔父がそう言いながら歩み寄ってきた。
「あちらで待ってたんじゃなかったんですか?」
「いやぁ…済まんが、これから仕事に出たいんだが。」
宣仁叔父にそう言われ、俺は溜め息混じりに返した。
「どうやら、あちらの仕事のようですね…。」
「そうだ。多忙なのは承知しているが、こちらも急を要するんだ。」
「それで…どこからの依頼ですか?」
「聖アンデレ教会からだ。」
「まさか…あの話ですか?」
11月の終わり頃からだが、この聖アンデレ教会の周囲で奇妙な噂が流れていた。怪しい声が聞こえるとか、時には人の様な獣の様な…そんな奇怪な影を目撃したとか。そんな噂がまことしやかに広がっているのだ。
勿論それだけではなかった。11月に入って直ぐ、三人の男女がこの近くで何者かに襲
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