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藤崎京之介怪異譚
case.6 「闇からの呼び声」
T 12.5.AM8:11
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その遺体を切り刻んで犬に喰らわせたというのだ。
 まぁ、誇張して書いてある場合が多いため、これを鵜呑みにするわけにはいかないが、ヴェッベルグ伯の悪政が八年近くも続いたのだから、あながち間違いとも言えない…。
 だが、この話には続きがある。この伯爵だが、こともあろうに民に向かってニタリと笑い、「我死そうとも、悪魔が我の代行となる。二百年に一度、贄を求め彷徨い歩くだろう。」と言ったという。それも…首を斬り落とされてから…。
 この民の暴動だが、一説には国自体がわざと起こさせたとも言われている。悪魔崇拝をしているヴェッベルグ伯を消し去り、全てを闇から闇へと葬りたかったと言うのだ。それが証拠に、暴動を起こした民たちは、誰一人罰せられた者がいなかったそうなのだが…。
「迷信みたいなもんでしょう。当時はコレラやペストなんかも悪魔の仕業って言っていた程ですし、殆どが作り話です。あ…ここまで話していて名前も言って無かったですね。失礼しました。私はカール・プフォルツと言います。」
「では、プフォルツさん…」
「カールで結構ですよ。プフォルツは言いにくいでしょうから。」
 彼はそう言って苦笑いした。横で宣仁叔父も苦笑している…。
「では、カールさん。今回のシンクレア神父の失踪は、貴方だったらどうみますか?」
 プフォルツ氏は腕を組んで暫し考えを纏めると、自らの考えを話した。
「そうですねぇ…。私でしたら、何者かに拉致されたか、または自らの意思で出ていったと考えますね。争った痕跡もないため、拉致ならば顔見知り…と考えても良いかも知れませんが。」
「しかし…シンクレア神父を拐って、一体何の得が?」
「そこなんです…何も思い当たらないため、私達もこうして聞き回ってるんですがね…。ですが、どうしても分からんのです。こうなると、自ら失踪したとしか…」
「有り得ません!」
 プフォルツ氏の声を遮り、ドミニク神父が大声でその考えを否定した。その声は教会内に響き、中へいた人々を振り向かせた。
「これは…失礼しました…。ですが、シンクレア神父はこの教会が家なのです。たとえ自らの意思で出ていったとしても、彼に行く宛なとないのです…。」
「失礼だとは思いますが…シンクレア神父に身内は居られないのですか?」
 俺はドミニク神父の言葉が気にかかって彼にそう問うと、ドミニク神父の表情に濃い陰がさした。あまり話したくはないことなのだろう…。
「はい…彼は孤児だったのです。私も詳細は存じませんが、親すら分からないと聞いております。これを口にするのも憚られますが…彼は娼婦の子だそうで、生まれて直ぐ、この教会の前に一枚の紙切れと共に置かれていたそうです…。」
 あぁ…これだから嫌なんだ。人間、どうしてこうまで性欲を満たしたいのか…俺にはさっぱり理解出来ない。
 無論、俺にだ
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