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藤崎京之介怪異譚
case.6 「闇からの呼び声」
0 11.30.PM.6:56〜 prologue〜
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依頼が来るようになったのだ。他に悪魔払いの報酬もかなり多いため、楽団員達にみじめな思いをさせずに済んでいる。が…田邊はあまりそれを快く思ってはいなかった。
 それもそうだ。悪魔払いなんて本職ではな上に、本業に差し支えても優先させているからな…。
 話が逸れたな。
 さて、無事に演奏を終えて後、ルートヴィヒ牧師は俺に満面の笑みでこう言ってくれた。
「誠に素晴らしい!宜しければ来月もお願出来ますか?。いや、毎月の定期演奏をお願いしたいのです。皆さん口々に貴方の演奏を誉めてましたよ。また是非にと言われましたから、都合をつけて頂けませんか?」
 この申し出は嬉しい限りだ。だが…異稿ばかりのこの演奏会で、よくこうなったもんだ…。
「喜んでお引き受けします。私もこのオルガンが気に入りましたし、帰国するまでの間、是非遣らせて下さい。」
「それは有難い!」
 話はトントン拍子に進んだ。これでまた一つ、仕事を増やすことが出来たのは幸いだな。当分は何があっても干上がることはないだろう。
 楽団としても、月に五回は何らかの仕事がある。合唱には田邊が組織した聖ヨハネ教会聖歌隊から十二名が来てくれているため、宗教曲の演奏も充分に出来ていた。
 これで安泰…と言いたいところだが、そう言うわけにもいかなかった。宣仁叔父宛にきた一つの依頼から、また禍々しい事件が展開されることになるのだ…。

 この町には古い言い伝えがある。その話の出所は、俺が雇われている聖チェチーリア大聖堂から西へ数キロ離れた場所にある古い教会だ。二百年に一度、闇の中より呼ぶ声が聞こえ、それを聞いた人々が次々にその闇へと消えて逝くのだとか。消えた者は暫くすると、無惨にもバラバラになって発見されると言い伝えられているのだ。
 この町に残る二百年前の記録には、実に数百もの人間が犠牲になったと書かれている。そして…その遺体も尋常なものではなかったとも…。
 記録には、目や鼻、指の一本一本や、酷い時には脳や内臓、骨さえバラバラになったいたという。当時も悪魔だなんて有り得ないと、人々は躍起になって犯人を探したのだが、結局は手掛かり一つ見付けられなかったそうだ…。だがこの事件の二百年前、この町には忌まわしい事件があったため、人々はそれに起因してるのではと考えたらしい。
 今から換算すれば、約四百年ほど前の話しだ。この町を治めていた領主が、町の人々によって殺されるという事件が起きた。遺体はバラバラに裂かれたと記録にはあり、この事件が二百年後に禍をもたらしたのだと恐れた様なのだ。
 町の人々は殺された領主のために新しい墓を作り、そこへ教会を建てた。それが現在の聖アンデレ教会であり、宣仁叔父に依頼を持ってきたのはその教会なのだ。
 その地下には現在も領主の墓が現存してはいるが、肝心の遺体は埋葬されていない
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