Vivid編
第四話〜向き合うということ〜
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です、なのは様』』
「二人共ここにいたの?」
ポケットを外から触ると考えた通りの感触があったため、なのはは手早くポケットからライの相方である二機のデバイスを取り出した。
『マスターも急いでいたようです』
「二人を忘れるほどに?あのライ君が?」
ゼストとの会話を聞かれたくないため、あえてデバイスを置いていったライであったのだが、自らのデバイスを置いてどこかに行くという発想自体が、そもそも魔導師からすればありえないことである。その為、なのはからすればライの行動はかえって彼女に違和感を持たせてしまっていた。
『戻られたようですよ』
なのはが内心で首を傾げている中、蒼月がそう切り出してきた。
「……うん?」
蒼月の言葉に掌の二機に向けていた顔を上げ、先程まで見ていた入院病棟へと続く廊下に視線を向けなおす。するとそこには確かに彼女の待ち人たるライ本人が歩いてきていた。
「まだここに居ればいいじゃない〜」
「妹の頼みが聞けんのか〜」
腰に二人のシスターをぶら下げながら。
齧り付くように抱きついている二人をずりずりと引きずりながら、ライはなのはの元に戻ってくる。まるで二人の事を気にしていないように見えるそんなライの行動になのははポカンとしていた。
「お待たせ…………二人共そろそろ離してくれ」
「やっとこっち向いたー!で、残ってくれんの?」
「いや、無理だから」
ライの容赦のない言葉にシスター二人のうちの片方、セインはブーブー文句を言い続ける。そしてそんなセインの態度に困った表情を浮かべるライを面白そうに見ているもう一人のシスターは、キャーキャー言いながら楽しんでいた。
「?……ねぇ、セインともう一人のシスターさんは誰なのかな?」
『あちらはここのシスターのお一人で、セイン様の同期であるシャンテ様です』
見覚えのないシスターになのはは知っていそうな蒼月にこそりと、名前を聞く。
蒼月によると彼女はライのリハビリに付き合っていたシスターシャッハの、騎士としての教え子である。
シャンテはシスターシャッハに聖王教会に誘われ、武術的な指導をしてもらっているシスターだ。そんな彼女が何故ライの腰に齧り付いているのかというと、彼に対するある種の報復行為だ。
先述の通り、シャンテはシスターシャッハを人としても師としても尊敬している。そんなある意味で憧れでもある人を、理由はどうあれ約一ヶ月もの間独り占めされていたのだ。
それはやはり愉快なものではないため、こうして退院が既に確定しているライを引き止め困らせてやろうという彼女のある意味で可愛らしい嫉妬の表れであった。
もちろん、そんな事を知っているわけでもないライ自身は彼女がどうしてセインと一緒に
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