Vivid編
第四話〜向き合うということ〜
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らこそ、ゼストは先ほどのような言葉をライに送ったのだ。それはかつて部隊を率いて多くの人間を見てきた経験があるからこそであった。
(彼が私たちのように……………いや、それは違うな)
自身であまり考えることが得意でないと思っているゼストが、自己の精神の客観的診断を切り上げる中、ふと考えそうになった言葉を打ち切る。
そして、代わりに囁くようにして心中を吐露した。
「潰れてくれるな」
丁度その言葉を呟くと同時に、かつての上司であり、部下の敵であり、そして友人である男が見舞いの為にその部屋の扉を叩く音が響いた。
聖王協会本部・医療区画ロビー
よく整備され、待ち合いのための椅子もそれなりに置かれている医療区画のロビー。
まだ時間帯が早く、普段も一般人があまり利用しないため、患者よりも職員の方が多いというある意味で喜び、経営的には嘆くべき状態であるその場所に、ライを待つ一人の女性の姿があった。
彼女の足元には大きめのボストンバックが一つ置かれており、私服姿のその女性――――なのはが持つにしてはあまり似合いそうにない男物のその鞄は、事情を知らない他人が見ても彼女に男性の連れか若しくは待ち人が居ることを理解させる。
「……」
近くにベンチもある中で彼女はロビーから続く入院病棟へと続く廊下の方に視線を固定していた。
何故彼女が座りもせずに、立って待っているのか。それは十数分前に彼女の足元にある鞄の持ち主であるライに原因があった。
ライが退院するということで、知り合いを代表して彼を迎えに来たなのはであったのだが、待ち合わせにしていたロビーでライと合流すると、彼がこう切り出したのだ。
『忘れ物をしたから取ってくる』
普段――――と言ってももう三年ほど前であるが――――隙のない生活を送っていたのを見ていたなのはは、ライの言葉に少しだけポカンと呆けた。そんな彼女へ手短に荷物を預けると、彼は足早に今日まで生活していた部屋に向かって消えていったのであった。
そう言った経緯でなのははここで待ちぼうけをしているのだ。
「ライ君遅いね、レイジングハート」
『メールをしてみますか?』
「う〜ん……してみようか」
静かに待っていることに飽き始めた彼女は、胸元にある待機状態がネックレスであるデバイスに話しかけた。提案するように連絡を勧めてくる相方に頼み、彼女は短文なメールを送信する。
「うん?」
メールを送信して一秒が経つか経たないかの間を挟み、派手すぎないメロディーが足元の鞄から聞こえ始めた。
思わず疑問の声を漏らしたなのはは、若干申し訳ないと思いながらも、音の発生源と思われる鞄の一番外側に着いている小さなポケットに手を伸ばした。
『『お久しぶり
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