Vivid編
第四話〜向き合うということ〜
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通り子供でも思いつく方法――――他者を排斥していく方法でライは歪ながらも成功を収めてしまった。
結果的にライはそれによって様々なモノを失うこととなってしまったが、それはギアスという解りやすい原因があったからだ。
その為、方法自体は間違えていないと頭のどこかでライは無意識に考えてしまう。
そして、単純ではあるが結果を求めるために彼は、自身を排斥するという形で対価としてしまう。それを無意識で行ってしまえる感性――――それこそがライの抱える歪みであった。
原因こそ知らないだろうが、ライのその歪みを指摘したのが、ゼストと言うライにとっては切り捨てるべき人間であったと言うのはどんな皮肉だろうか。
「――――ぇっ、――ぐ――――げぁ――――」
胃が、食道が、内蔵全てが絞られるようだ。
もう胃液しか出ていないのに、身体のどこかがまだ吐き出そうと蠕動する。
吐き出すものなどもう無いというのに、これ以上何を吐き出せというのか。彼の頭のどこか冷静な部分が、誰に向けてか訴える。
(まるで、空っぽだ)
苦味と酸味が口の中で踊り狂う中で、ふとそんな事を考えていた。
もう出るものがなくなりきったのか、やっと体内の蠢くような感触が引いていく。
頭がぼんやりしてしょうがないが、ライは手を拳にすると打ち付けるようにして足を叩く。あまり効果はないが、痛みを感じたことで少しだけ思考がマシになったと思い込むことにする。
ライはトイレの個室に備え付けのトイレットペーパーを使って口を拭い、吐き出したものと一緒に流す。幸いにも服は汚れなかった為、トイレの手洗い場で口を念入りに濯ぐと足早にトイレを後にして目的地に向かう。顔色が悪くなってしまっている言い訳を考えながら。
聖王協会本部・一室
「……」
先程までの来訪者が出て行った扉に視線を預けながら、ゼストは先程までの自身のらしくなさにため息をつきそうになった。
(説教……と言えるかは知らんが、あんな事を言うつもりはなかったのだがな)
自重するように内心でそう呟くと、再び出そうになったため息を飲み込むのに少しだけ苦心する。
そんな中で何故、自分がライに対してあそこまで、言葉を送ってしまったのかを考える。
ライは決して聞き上手というわけではない。気持ちを伝えることも上手いわけでもなく、寧ろ不器用といっても言い。弁舌の才能があること自体は否定できないが。
ライが優れているのは、相手の気持ちに自覚を持たせること。そしてそれを素直に表に出してやることだ。それは時に行動で、時には言葉でそうしていく。
それは言い換えればカリスマとも言えるが、ライの場合は人徳と言ったほうが適切である。
そのある意味で才能とも言えるモノを無意識的に理解していたか
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