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戦国異伝
第二百二十九話 隠されていたものその十三

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「つまり織田信長をすぐに討てる者じゃ」
「ではその者は」
「一体」
「まずは都に近い」 
 最初の条件が述べられた。
「これがある」
「では武田、上杉、北条等はですな」
「毛利や長宗我部にしても」
「徳川ですらですな」
「その者達は考えておらぬ」
 最初からというのだ。
「だから外しておる、伊達に島津は論外じゃ」
「ですな、甲斐も越後も安芸も都から遠いです」
「兵を挙げても都に着く前に抑えられます」
「だからその者達ではない」
「他の者達ですな」
「そして織田信長は都への守りを強くしておる」 
 このこともだ、わかっているのだった。
「安土や大坂の城がそれじゃ、あの二つの城が都を守っておる」
「ですな、あの二つの城がある限り」
「安易に都に近寄れませぬ」
「ではあの城に防がれる者はですな」
「操れませぬな」
「そうじゃ」
 安土と大坂、二つの城のことも言われた。
「つまり大和か丹波よりじゃが」
「ではまさか」
「ここで操る者とは」
「わしはj果たす」
 必ずというのだ。
「あの者を操る」
「一筋縄でははいかぬ者ですが」
「そこをあえてですか」
「操ってみせて」
「織田信長を滅ぼし」
「天下を混乱の坩堝に戻すのですな」
「左様、では動くとしよう」
 こう言ってだ、そしてだった。
 老人の声は闇の中で動きだした、しかし彼は気付いていなかった。信長は先のさらに先を読んでいたことを。この時はまだ知らなかった。


第二百二十九話   完


                          2015・5・28
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