第3章 リーザス陥落
第71話 光明見えるジオ戦
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。
実際に刺されたのか? と思える程のモノ。気配と言うよりは、殺気だ。
「……何者だ? と訊くまでもないな。……ヘルマン軍の者か」
「………っ(そ、そんな け、気配が全く……、こんな荒地だっていうのに、足音とかも……全く)」
セピアは、ゆっくりと手を上げた。逆らえば、即座に死ぬ。と思ったからだ。
これは暗歩と呼ばれる歩法。
いや、ヘルマンの兵士として、死を畏れている訳ではない。……と思っていたのだが、ここまでの殺気を自らのみに集中させられた事など、これまでに一度たりとも無いのだ。……本能的に萎縮してしまったとしても、誰も彼女を責めたりは出来ないだろう。 出来るとすれば、警戒を強めていたとは言え、安易に1人で出てきたと言う事。これ以上、他の者達に迷惑をかけられない、と思った彼女の責任感も、今回ばかりは裏目に出てしまった様だ。
セピアは、ぐっ、と拳に僅かにだが力を込めた。まだ、隙らしい隙は出来ないだろう。それでもチャンスは必ずくる、と信じて。だが……。
「妙な真似は考えない事だ」
「ぁっ……!!」
僅かに、本当に僅かに力を込めた拳。その気の流れとも呼べる僅かな気配をも、この男は察知した。
――……レベルが、違いすぎる。
一矢報いたい、と思ったが それが不可能である事も 悟った。この瞬間に。
背後を取られていた筈なのに、いつの間に正面に回られており、鋭い眼光を向けられた。それは、完全に捕食される側だと言う事を、弱者だと言う事を認識するのには十分過ぎる一撃だった。身体が震え、そして動けない。ヘルマン軍兵士としての誇りも、根刮ぎ奪われてしまい、セピアは 降伏するしかなかったのだった。
〜レッドの町〜
其々が、適した方法で休息を取っていた。
ユーリは、小一時間程、睡眠を取った後に まだ明るい空の下。この町で一番高い建物である町長の屋敷の屋上にて、周囲を見渡していた。
「……とりあえず、異常はなさそうだ」
レッドの町には 平穏が訪れている。
戦争での爪痕は勿論、まだ残っているものの、リーザス奪還へ向けての作戦行動は勿論、復興支援も滞りなく行っているのだ。非常時こそ、その町や国の器量が試されるとはよく言うが、これを見れば大丈夫だと思えていた。リーザスの軍人は勿論、カスタムの面子のおかげ、と言うもの勿論あるだろうが、レッドの住民も決して負けている訳ではない。皆が支えあっている。
今回の1件が解決すれば、交流は勿論あるのだが、殆ど独立しているとも言える各町の繋がりが強くなり、良き間柄になれるだろう、とも思えていた。
「……ユーリ。少しいいか?」
そんな時だ。後ろから声を掛けられた。
「ん
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