七節・始まりの最上階……その最奥を目指す
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無く、ディアベルがこの場で最後の文句を口にする。
「此処まで来たなら、俺が言える言葉はたった一つだ―――――勝とうぜ!!」
「「「「「オーーーッ!!!」」」」」
まるでディアベルを中心にしたが如く、鬨の声が巻き起こった。
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どれだけ指揮を上げ、どれだけ決意の思いを胸にして、どれだけ決起の言葉を口にしても―――――迷宮までの道のりは避けらない。
……とは言えレベルがレベルであり、其処までモンスターに苦戦することは無かった。
寧ろ頻繁に笑い声が聞こえる事と言い、おしゃべりの音が尽きぬ事と言い、モンスターのPOPを除けば宛ら遠足の様。
デスゲームでこれなのだから、通常のMMOとして管理されていればもっと温かで、もっとにぎやかだったかもしれない。
今現在の隊列は、ディアベル達のパーティーを先頭より少し後ろに配置している体系であり、全体を見て指示を出しやすい陣取りで行軍が進められている。
キバオウ等は同じく先頭近くで、スキンヘッドの黒人達は後列側……当然、キリト達のパーティーは最後尾だった。
「ねぇ、あなた。ここに来る前にも、MMOゲームをしていたんでしょう?」
「え? ま、まあ、そうだけど」
「なら、他のゲームの移動中も、こんな遠足みたいな雰囲気なの?」
「ははは、遠足か……言い得て妙だな」
委縮した雰囲気を少しばかり軽くしながら、キリトはアスナの素朴な疑問に答えた。
「ボイスチャット使用可能ならともかくさ、キーボードに打ち込まなきゃいけなかったりすると、移動中では手が離せないし中々こうは行かなかったよ」
「そう」
字面こそ簡素では有るが、声色は決してそっけなく無い、そんな言葉を彼女は返す。
「……本物は、どうなのかしら」
しばし何かを想像していたのか、周りの賑やかさとは対照的な静かさで俯き、数秒程黙ってから再度質問を繰り返した。
「ほ、本物って?」
「こういったファンタジーな世界が本当にあったとして、化物の親玉を倒しに行く時……剣士や魔法使いの集団は、押し黙って歩くのか今のように騒ぐのか、それとも義務的に話すのか」
「……」
その問いにはキリトも直ぐに答えられず、結果として妙な間を作ってしまう。アスナは自分が余りに子供じみた質問をした事を悟ったか、そっぽを向いて自らの発言を訂正しようとする。
「其処まで悩む事かい、スポーツと変わりゃーせんだろうよ」
言葉にて切り裂いたのはキリトではなく、道中珍しく沈黙を保っていたグザだった。
「……えっ?」
「だからやるべき事が違うだけ、と言ったんだわな。スポーツで大会があ
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