七節・始まりの最上階……その最奥を目指す
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スケイルメイルとサボテン頭は昨日までの通りだが、その剣呑な眼には先日以上の非友好的空気を秘めている。
それもその筈―――――キリトはアルゴを介して名の知らぬプレイヤーと、ある交渉をしていたのだ。
内容は、自分が持つメインウェポン『アニールブレード』を買い取りたいと言う旨の話で、苦労して手に入れ運よく強化に成功したのだから、当然譲る気など毛頭なく断り続けてきたのだ。
一番最後に断った際に提示された値段は39,800コルで、もうその金で一級品の装備を設えて鍛えた方が早く、一体全体何を考えているのか? ……と、キリトは盛大に大口を開けてしまった記憶がある。
何度も何度も意味不明の交渉を続けていられるかと、昨晩遂にアルゴ経由で依頼人の名前を提示してもらった……のだが驚くべき事にその依頼人―――名の知らぬプレイヤーこそ、今キリトへ声を掛けてきたキバオウだったのだ。
つまり、四万コル近い大金を積んで尚交渉を断られ、仕舞いには代理人を立てて隠していた名前までバレてしまった、非常に気不味い間柄に他ならない。
ふつうは話しかける事は愚か、近距離に居る事すらも御免だろう。
グザ並みのクソ度胸とキリトの方こそが委縮してしまいそうな態度を変えず、キバオウは最初に言葉告げた時の表情よりも、より一層憎しみを滴らせて顔を突き出してきた。
「大人しくワイ等が狩り損ねた雑魚コボの相手だけし取れ。オミソが絶対に出しゃばんなや」
「いやいや、予想外の状況も有り得るしねぇ。絶対にってのぁ、正直無理あるわな?」
「……! また、お前かいな……!」
此処でグザがニヤリとしながら、キバオウ発言中に嘴を入れてきた。
一昨日やり込められたのを思い出したか、キバオウは一歩引き若干たじろぐ。
舌戦で勝てない事を、あの一回でも理解しているからだろう。
「それにオレちゃんらは人数が少なすぎる。前に出られても火力が足りねーし、安定した戦闘も出来やせんよ。普通に行けば、前方まで上がる理由なんざ元から無いんだわな」
「ハン、忠告しとかんと―――」
「白黒ハッキリさせるのは戦いの後つーたろう、今いがみ合ってどうすんだい? もし個人的感傷なら隠すのが吉だし、そもそもオレちゃん達が自己中にすりゃー連携が崩れる。攻略だって次回から退け者確定じゃないよ、それこそ無理だわな?」
「ぐ……っ……フン!」
正論を突き付けられ何も言えなくなったキバオウは、如何にも納得がいかないか仮想の唾を吐いて地面に叩き付け、自分の率いるE隊の方へとノシノシ歩いて戻って行った。
「あー……えっと……えーと……」
「……グザさんのお陰で少しはスッとしたけど……何なの、アレ」
二人のやり取りを茫然と眺めていたキリ
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