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妄執
5部分:第五章
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りじゃ」
「お札なんか出してどうするんですか?」
「見ていればわかる」
 今はこう言うだけの和尚だった。
「こうするのじゃ」
 こう言ってであった。鬼の前に静かに摺り足で出てである。札束を投げたのであった。
 それが鬼の額に貼られた。そうして。
 動きが完全に止まり静かに後ろに倒れていく。それで全てが終わった。
 キンは棺に戻されそのうえで火葬にされた。襲われた銀行の金は戻り彼女の資産は全て慈善団体に寄付された。話は何もかもが終わった。

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