4部分:第四章
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第四章
そうしてそこで話すのであった。
「ええと、怪力で銀行の金庫を壊したみたいですね」
「そして金を全部か」
「銀行の金庫って壊れるんですか?」
小僧はその破壊された銀行の金庫を見て話す。そこは何か強烈な力で叩き壊されていた。何かで殴り潰された跡がはっきりと残っていた。
「人間の力で」
「それは絶対にない」
和尚もその映像を見てはっきりと言った。
「有り得ないことだ」
「じゃあこれは」
小僧はその映像を見てまた話す。
「何なんですか?」
「人間の仕業ではない」
和尚は断言した。
「そう、これは」
「これは?」
さらに言おうとしたその時である。不意に電話が鳴った。
小僧がそれに出るとである。顔が瞬く間に青くなった。そうしてちゃぶ台のところで正座して食べている和尚に対して告げるのだった。
「お師匠様、大変です」
「どうした?」
「キンさんがですね」
「うむ」
「いなくなりました」
その青い顔での言葉である。
「棺がこじ開けられて扉が破壊されているそうです」
「まさかな」
それを聞いた和尚は静かに述べた。
「あれか」
「出て行ったのでしょうか」
小僧は怪訝な顔で和尚に問うた。
「あの、死んでも」
「かもな。それではじゃ」
「はい」
「すぐに行こう」
こう言うのだった。
「すぐにじゃ。いいな」
「はい、それじゃあ」
「行くぞ」
また言う彼だった。
「葬儀場にじゃ」
「わかりました」
こうして朝食を慌しく終えてそうして寺を後にして葬儀会社が設けていた葬儀場に向かった。するとそこでは葬儀会社のスタッフもキンの会社の者達もおろおろとしていた。
「あっ、和尚」
「来られたのですね」
「キンさんがおられなくなったそうですが」
その彼等に応えて言うのだった。
「それは本当ですか?」
「はい、そうです」
「棺には誰もいません」
まさにそうだと答える彼等であった。
「もぬけの空です」
「本当に」
「お師匠様、これは」
「うむ、それではじゃ」
「はい」
「すぐに向かうぞ」
こう言って外に出ようとする。この時に小僧に対して言ってきた。
「御前も来るのだ」
「私もですね」
「学校は休むことになるかも知れん」
小僧はまだ子供だ。実は彼は和尚の甥でもある。妻に若くして先立たれ子供のいない彼の跡継ぎとして寺に入っているのだ。なお言うまでもなくまだ子供なので学校に通っている。
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