アインクラッド編
龍皇の遺産
龍皇の遺産 03
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モンスターだけじゃない。 NPCだって生きているんだ。 だから僕は、ヴェルンドさんに対して誠実でありたい。
けど、ヴェルンドさんの反応は、僕の予想を大きく超えていた。
「改まって何かと思えば、なんだ、そんなことか」
「…………」
あまりにアッサリとした反応に僕のリアクションが追いつかない。
いやまあ、別にヴェルンドさんとバトりたかったわけじゃないけど、いくらなんでもその反応は淡白すぎないかな?
「ふん。 言ったであろう? 塔の守護を任されていた龍皇様がいずれ貴様らに討たれることなど、言われるまでもなく覚悟しておったわ」
「でも……でも、僕たちは……」
「我は貴様らを責めたりなどせんよ。 貴様ら人間にも目的があるのだろう? 龍皇様を討ったことを許せはせんが、それを恨む道理もない。 何より、あのお方は武人だ。 戦場で果てられたのであれば、きっとご満足なさったはずだ」
少しだけ悲しそうに、だけど、どこか誇らしそうにヴェルンドさんは言う。
「龍皇様は守護者として。 貴様らは剣士として。 互いが互いの存在を賭けて争った結果ならば、部外者である我が口出しなどできんよ。 まして、復讐などしてしまえば、我が龍皇様に殺されてしまうわ。 なんだ、恨み言でも期待していたのか?」
「いや、そう言うわけじゃ……」
「貴様らは龍人族が最強の男を討ち取ったのだ。 ならば胸を張れ。 貴様がその調子では龍皇様が浮かばれん」
「……はい」
姿勢を正して頷いた僕に、ヴェルンドさんは穏やかな笑みを浮かべた。
この一幕を現実主義者が見れば、『そんなものもシステムによってなされた応答だ』と言うだろう。 でも、僕はそんなことを思わない。
正直、ヴェルンドさんの言葉は理解できないけど、それでも分かる。 きっとヴェルンドさんにとって、龍皇は誇りなのだ。 だからこそ、そんな龍皇を討ち取った僕たちを称賛こそすれ、罵倒する理由がないのだろう。
「しかし、貴様は気持ちのいい男だな。 我に黙っていることもできただろうに。 もしも我が貴様らに復讐の意思を向けたとしたら、貴様はどうしていたのだ?」
「殺すよ。 僕自身とアマリの命を脅かすなら、たとえ僕たちに非があっても関係ない。 僕は僕とアマリのためにあなたを殺す」
「ふん。 全くもって正直な男だ」
そう言って、ヴェルンドさんは大きく笑った。
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