十三話:心の刃
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、主の可能性が最も高いと疑われ念入りに調査されている。
やはり一発ぐらいはあの科学者に鉛玉を撃ち込んでおくべきだったと八つ当たり的に考えながら端末に計画内容を打ち込んでいく。
暗号にして万が一傍受されても安全なようにはしているが悪魔の頭脳相手には気休めにしかならない。
(こうなったら逆に僕を囮にしてはやてから目を逸らさせるか?)
いっそ、自分が精力的に動いて管理局を引き付けるという作戦もありだろう。
その間に騎士達が闇の書を完成させてしまえば後は全く目を付けられていないリーゼ達が不意を突き、永久凍結を施して終わりだ。
ただ、こちらに目を引きつけ過ぎると、封印に失敗した場合にアルカンシェルが間に合わなくなる恐れが出てくる。
可能性としては低いが不安要素は全て排除しておくべきだ。
最終局面では最低でも真の覚醒にすぐに気づけるように働きかけなければならない。
(そして、闇の書の真の覚醒の引き金は僕が引く。これだけは他人に任せるわけにはいかない)
絶望による破壊衝動を起こさせるために最も信頼していた者の裏切り程相応しいものはない。
故に最後の瞬間に切嗣は立ち会わなければならない。
絶望の表情を、憎悪に満ちた瞳を、己の目に焼き付けなければならない。
それこそが父親としての最低限の義務であるのだから。
そこまで考えたところで頭をハンマーで殴られた様な衝撃に襲われる。
(何を考えているんだ僕は…ッ。これじゃあ、完全に私情だ。私情で計画を練れば破綻することぐらい目に見えているだろう!)
ガンガンと痛む頭を押さえながら机につっぷす。
これ以上考えたら心が完全に壊れると本能が警鐘を鳴らして来る。
―――キミがアタシを殺して……オネガイッ!
血が滲むほどに唇を噛みしめる。
今度こそは愛する者をこの手で殺さなければならない。
そうしなければ“彼女”の死は無意味なものとなってしまう。
理想も何もかもが壊れて消えてしまう!
「違う…違う……僕は最少の犠牲で最大の結果を出す。それだけなんだ…っ」
うわごとのように呟きながら必要なことだけを端末に打ち込み送信する。
今のところは自分が主だと勘違いさせたままの方がいい。
後は臨機応変に対応すれば問題ない。盤面は既に終盤だ。
もう、誰にも止められるはずがない。だというのに、頭は混乱したまま定まらない。
気分を落ち着けるために外に出ようと漠然と考え廊下に出る。
「闇の書…?」
『…………』
すると丁度移動中だったのか闇の書がフワフワと宙を漂っていた。
まさか、先程の声を聞かれたかと警戒するが管制人格は主の承認がない限り目覚める事は無い。
そして、今回の主で
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