第五話キャベツ焼き?
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気になるがこれ以上、青葉に聞いてもはぐらかされそうだな。
「いい、だからアンタ一人で抱え込む必要はないのよ!
誰もアンタ一人に若ちゃんの夢を背負わせたりしないんだから……」
「そうだな……悪い。
背負いすぎていたのかもな」
俺は若葉の夢を叶える、ずっとその為だけに野球を続けてきた。
若葉がいなくなるまで野球なんか、キャチボールすらまともにやったこともなかった。
若葉がいなくなってからもずっとこそこそ続けてきたのは全て若葉が見た夢の舞台に立つ為だ。
だから俺は絶対に負けてはいけない、そう思って練習してきた。
だけど……もう、いいのか?
若葉の為だけにやる野球、そういう理由でやらなくてもいいのかな?
「にいちゃん、彼女と喧嘩か〜?」
「さっさと謝った方がええで〜」
「女はどこでも強いからな、ホンマ」
考え事をしていた俺に見知らぬオッちゃん達が声をかけてきた。
店内の他のお客さんに会話を聞かれていたらしく、オッちゃん達から非難の目を向けられた。
店内で大声を出していたことに気がついた俺達は気まずくなり、そそくさと店内を後にした。
「すぐに考えが変わるわけないからよく考えなさいよ。
アンタが野球をやる理由を」
俺が野球をやる理由?
「アンタが若ちゃんの為だけに野球をやる必要なんてもうないのよ。
若ちゃんの夢はもうほとんど叶ってるんだから」
叶ってる?
「アンタがよく考えて、悩んで、その結果が若ちゃんの夢を叶える。
それなら私は納得するわよ。
でも今はそうじゃない。
アンタは自分のことを考えてない。
もう一度よく考えてみれば違う夢や目標、未来を夢を見ることだってあるかもしれない。
甲子園で決勝に進めたとしたらその先に何があるのか、本当に若ちゃんの夢だけの為に勝ちたいのか。
自分自身のこともよく考えなさいよ」
青葉はそう言い、商店街の中を先に歩いて行ってしまった。
「自分自身のこと……か」
大阪天満宮の境内でお参りした後、再び商店街に戻るとちょうど昼過ぎだったので軽く食べることにした。
いろいろな店先を見ながら、どの店に入るか悩んでいると……。
「キャベツ焼き?」
青葉が突然立ち止まり、聞きなれない食べ物の名を口にした。
「キャベツ焼き?」
青葉の視線の先には大きな鉄板で焼かれているお好み焼きのような食べ物があった。
一枚140円とかなりリーズナブルの値段で売られていたそれは熱い鉄板の上でジュー、ジューと香ばしい香りを漂わせながら焼かれている。
店の隣、そこには数席の椅子が置かれており買った焼き立てのキャベツ焼きをその場で食べれるようになっていた。
「食うか?」
隣に並ぶ青葉に声をかけると「うん」と
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