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大刃少女と禍風の槍
六節・早朝の宿で少女は悩む
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ってしまった。

 次の言葉を紡ぐこと無く、棒立ちのまま一旦ロバから降りるグザを見ていたが、彼女が何か行動を起こす前に、乗りながらも律儀にパイプは咥えたままだったグザの方から、青い煙を吹きだし話しかけてくる。


「フゥ〜―――大方よ、嬢ちゃん今日のボス戦、クリアなぞ出来ねーと思っとるんだろ?」
「……何故……」
「分かった、かい? ……嬢ちゃんの今までの考え方からすれば、まあそれぐらいは分からぁな」


 パイプを棒付きキャンディーか何かの様に、口内にて前歯で噛みユラユラと上下させながら、グザは含まれた感情の読めぬ笑みで続けた。


「自分以外にも人は居るってのにトンと目に入れず思考を先走らせ、どうせクリア出来んから走れるとこまで走って死ぬ等と言い放つ。そんなお前さんなら、ボス戦でのクリアの有無なぞ眼中になかろうよ」
「……その考えは変わらないわ。クリアできるとも思えないし、アナタみたいに気楽で居られる訳でもない。全員が死ぬことは決まっているのよ」
「そりゃ嬢ちゃんからすればね―――だが、オレちゃんはクリアできると思ってるのよ。今日だって死者ゼロで倒せるかもと期待し取るわな」
「……理解できないわ」
「な〜に、せんでもいいよ。どうせ血も育ちも性別も違う人間やね」


 それだけ言うとグザはロバの尻を軽く叩いて態と驚かし、遠方へと脱兎のごとく逃げ出すロバを見やる。

 苦笑しながら傍に置いてあった……造型からしてNPCショップで売っては居ない両手槍を、足に引っ掛けて “ポォン” と投げ上げキャッチした。


 そのままアスナの方を向いた。


「ここは圏内だからHPも減らんし……どうだい? いっちょ得物を交えてみるってのは?」
「……お断りするわ。何のメリットもない、ただ疲れるだけよ」
「あーらら、そうかい。ふーむ……坊主なら喜んで引き受けてくれるかねぇ」


 言いながら槍を風車の如く回して遊び、高く放り投げてはキャッチしまた放り投げ、同じような動作を何回も何回も繰り返し始める。
 十回を越えてもまだ飽きずに続けているグザから意識を外し、アスナはレイピアを構えてソードスキルの練習を始めた。


 ……ふと横を見れば何の演武を始めたか、グザがバトンの様に槍を上下左右に振りながら、体勢を幾つも変えながら、蹴りを含めながら大きく動き始めた。

 しかしその動きは洗練されており、とてもゲーム内で得られるプレイヤースキルだけで実行できるとは到底思えない。

 年齢を察し難いキリトがまだ可愛く見える程に、グザには歳から実力から、独特な喋り方ながら自然さを持つ所から、掴みどころと言うモノがまるでなかった。


 そもそも……刺青はデカール系のアイテムだとしても、身長や明らかに日本人で
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