暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
五節・青少年のハプニング
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はNPC達の声や道具を扱う音、そして環境音であろうフクロウや虫の声のみが、静かに聞こえるのみである。


 不規則的に届くそれらに耳を傾けながら、グザは此方も不規則的にパイプを吸って吐いて、口から離してまた咥えてを繰り返した。



 時間にして五分くらいだろうか。
 唐突にグザは右足を軽く上げ、トントンと小突いて見せる。そしてまた、特徴的なニヤニヤ笑いを見せるが……その表情には、どこか “喜” や “楽” 以外のものも含まれている。


「ちょいと制限(・・)が掛かってるか、フル活動は少し先かね……面倒臭いわなぁ」


 足を降ろした数秒後、パイプを口にしたまま、誰にともなく呟いた。


「暫くは、律儀にゲームやるべきやね。やろうと思や何とかなるが……ま、無理は禁物だわな」


 そこで独り言は途切れ、再び静寂が訪れた。





 ―――そう思われた、正にその瞬間だった。



『わあア!?』
『キャアアアアアアアアッ!?』

「っ! ……お〜う……何だろな〜っと」



 中から聞こえてきた二つの絶叫に、グザは思わず指で挟んでいたブルーベリー色のパイプを落としそうになり、落ちるのを阻止した猫背ぎみな恰好のまま、顔だけ動かし半眼で扉の方を見る。

 どう考えたって良いモノでは無かろうと、すぐに入る事はせずにまずは声だけ聞こうとノックをかました。


 ノック後は扉の内と外で会話できるシステムらしいが、一体何秒間まで声が届くのかグザは知らず、だが流石に十秒以上はあろうと、思ったままに声を出す。


「お〜い、どうかしたんかい」

『ま、待って! 絶対に入ってこないで!!』
『おウ、入ってきたら酷いヨ!』

「……そうかい」


 予想通り否定の言葉が返ってきた事で、元から開ける気など無かったが、グザは扉へ背を向け待機時と変わらない暇つぶしをし続ける。

 やがて、向こうからノックされ、入ってもいいと声が届いてきた。

 グザは特に遠慮すること無くドアを開け、中を確認すべく視線を巡らせれば、フーデットケープを目深にかぶったアスナと、逆にフードを下ろしたアルゴ、そして何故かソファーで寝かされているキリトの姿が目に入る。

 それだけで大体状況を把握したか、グザは下へ顔を傾け笑いをこらえながら、その可笑しさを霧散させるべくと大袈裟に息を吐き、アルゴの方を向いた。


「あ〜、要するに伝える得べきこと伝えず起きたハプニングって訳かい?」
「まあ、そんな所だナ」
「……詳しく聞いたらレイピア突き立てるから」
「流石に聞かんよ、オレちゃんもね」


 一旦はアスナの方を見て、両掌を上に向けて肩をすくめると、アルゴの方へ体勢を戻す。

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