五節・青少年のハプニング
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かだった。
「えっと、風呂場そこだから……ご、ご自由にどうぞ」
「あっ……うん」
「言っとくけど、ナーヴギアも液体環境は苦手らしくてさ。だから過剰な期待はするなよ」
「分かったわ」
アスナはそれだけ言うとバスルームの扉を開き、ゆっくりと閉められてその姿は奥へと消えて行った。
やっと終わったとばかりにキリトは大きく肩を落として、武装を解除してソファへともたれ掛る様にして座り込み、長くのびをして乱暴に手を落とした。
「お疲れさんだ少年。嬢ちゃんの扱いは苦手かい?」
「苦手だよ……現実じゃあ妹と話すのだって難儀してたのに……」
「クハハハ! ならギクシャクしても仕方ないわな」
身長も雰囲気も明らかに歳上なのだから、少年と呼ばれるのは仕方ないかもしれないとキリトも思ったが、それを引き合いに出して揄われるなど、いい気分はしない。
見るからに心底面白がっているグザは笑いを止め、ブルーベリー色のパイプの先を彼へとつきつける。
「で、説明は嬢ちゃんが風呂、上がってからかい?」
「まあな。流石にアスナだけ置いてけぼりってのは……」
そこで会話は途切れ、しばしの間無言の時が流れる。
キリトはグザの視線が外れた時に、思春期だからしょうがないのか目が向いてしまっている。それも回数を重ねるごとにこらえる事が出来ているみたいだ。
が、実の所グザは目を外している『フリ』をしており、しかし同じ男だからか大して軽蔑もせず、苦笑しながら天井を見ていた。
やがてキリトは攻略本を読み返し始め、グザはパイプを咥えたままメニュー画面を操作し出し、本格的に会話する要素が失われていく。
どうも内容が頭に入らないかクシャクシャに髪をかき乱すキリトは、メニューを表示して攻略本を閉まい、やる事が無いとアイテム整理中のグザの背中を眺め初める。
……ふと、その背中に違和感を覚えた。
懸賞品を含め限定一万本という、少ない数しか販売されなかったSAOを買えたのは、文字通り筋金入りのゲーマーだと言っても過言ではない。
そう言った人種は……例外は居るだろうが、基本ゲーム中心の生活にどっぷり浸かっている者であり、キリトの様な線の細い、もしくは体型が横に広い物の方が多い。
余り動かないし、筋力を鍛えようともしていないのだから、神経系の反応は早くなれども、物理的な運動能力は全く鍛えられないも同然だ。
故に現実の体をアバターの容姿に反映したSAOでは、上記の体型が当たり前なのである。
しかしながら……グザはソレに、全くと言っていい程当てはまらない。
常人よりも比率的に長い手足の所為で細めには見えるが、半裸の為筋肉がガッチリついている事が傍
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