五節・青少年のハプニング
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が掛かり、しかも夜な為危険。
オマケに遅刻してしまう可能性も捨てきれず、真面目な性分なのか端から選択肢に入れていない様子。
時間にして数十秒間葛藤し、緩慢な動作で顔を上げ、小さく言葉にならない声を漏らすも、またも体を震わせて黙り込む。
口にすべきか呑み込むべきか、本気で悩んでいるらしい。
視界に映る黒髪の少年剣士は視線をさまよわせており、少し後ろに待機しているグザは待たせているのに全く苛立っておらず……と言うか背を向けて、肩を断続的に痙攣させていた。
もしかしなくても笑っている。
その所作にアスナかなり腹だったが―――とうとう耐えきれなかったか結論を出し、頭を下げた。
「あ、あなたのとこで……お、風呂っ……貸して」
「は……はい」
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トールバーナの東、小さな牧草地沿いに剣士が借りているという、部屋のある農家はあった。
普通想像する建物より大きめであり、厩舎や母屋も合わせればちょっとした豪邸ぐらいあるだろう。小さめながら水車までついている。
玄関をまたぐとNPCである陽気そうな女性が、キリト達へと人の良い笑顔を向けてきた。どこか温かみのあるその表情は、チラと視線を向けるだけでは違和感など感じない程だ。
どっしりした造りの階段を踏みしめ二階へ上がり、廊下の突き当たり近くと少し離れた位置にある扉が見え、キリトが借りているらしいのは一番奥の方で、ひとつ前の扉はスルーした。
無言でドアを開けたキリトは、引きつった笑みとぎこちないジェスチャーで、中へ入る事を促した。
「ど、どうぞ、取りあえず……」
「ありがと」
「はいよ、そんじゃ邪魔しまーす」
対象的な温度差を持つ二人の台詞を受け止めながら、コロコロ表情を変えていたキリトも、此処で変な気分になっている場合ではないと普通に扉を閉めた。
息を一つ吐いてからアスナ達の方へ目線を向けると、グザはまたもパイプを吸いつつ普通に椅子へ座っていたが、アスナは予想外の部屋の内装や広さに呆然としている。
「広っ……!? ベットも質がいいし……これでたった三十コル差なんて……」
「確かに広いやね。オレちゃんとこは反対側の西にあるが、宿屋よりゃマシってぐらいだったわな」
言う程驚いていないグザは、小さく笑いながら濃い青色の煙を吐きだす。
もう一度部屋を見渡したアスナは、未だ信じられないのか目を見開いたまま大きく息を吐きだした。
部屋の広さは二十畳―――約33平方mほどで、東に見える扉奥の寝室もそれぐらいはある筈。
西の壁には “bathroom” と書かれたプレートが下がっており、底がの風呂場なのは誰の目にも明ら
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