四節・走破へはじめの第一歩
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
一番最初に行われた会議は……攻略会議とは言えども、内容はプレイヤー達の士気を上げるだけのものでしか無く、実用的な情報交換などは既に、ほぼ『アルゴの攻略本』内にて記されていたので、必要が無い。
なので、実質ディアベルの語りと、キバオウとグザが意見を出したのみで終わったのだ。
それでも、絶望の影で未だ覆われたアインクラッドにて、気分を盛り上げると言う効果はまず重要であり、その面では役に立つ会議だったと言えるだろう。
現にその翌日には、ディアベルのパーティーがボスへの扉を発見し、あまつさえ姿や名前に護衛兵まで見て来てしまったのだから。
尤もその事が全体に知れ渡ったのは夕刻であり、キー坊(仮称)や他ボス部屋近くに居なかったプレイヤーは、完成を上げた後声が途絶えただけにしか聞こえなかったようだが……。
……ちなみにだが、グザの姿はキー坊(仮称)とフードの少女からは、見えなかったし見かけもしなかった。
サボっているのかどうかは解らないが。
ボスは身の丈二mほどのコボルドで、今まで出てきた物の中では最大。
名は《イルファング・ザ・コボルドロード》、主武装は片手斧と盾だが、腰に湾曲した剣を指しており、恐らく曲刀カテゴリであろうソレに切り替える事も予想された。
取り巻きも湧き、名は《ルインコボルド・センチネル》、武器はハルバードであり、開始と同時に三匹が穴から飛び出して来たのだとか。
βテスターであるキー坊(仮称)は当然これを知っており、更にはボスの背中の武器が曲刀で確実な事、HP低下と共に武装を切り替える事、センチネルが合計十に引きわく事までも熟知している。
しかし飽くまでそれはβの知識。グザが言っていた様に此処で通じる可能性があるかは分からない上、彼には自分から言い出す勇気も度胸も無い。
だからこそ余計な事を言わぬようにと黙っているが……それではまた確執を生んでしまいかねない。最悪の結果が起きてからバレれば、プレイヤー達の空中分解は確実だ。
が……幸か不幸か会議の最中にグザが声を上げたかと思うと、広場の隅で露店を広げていたNPCが、レイのパンフレットを委託販売している事が解り、キー坊(仮称)の葛藤は有耶無耶になって霧散させられた。
重大な決断をすべきか否か、酷く重要な考えごとの最中にあっさり解決した所為で、彼の顔には何とも言えない微妙なモノが浮かんでいる。
本の名は『アルゴの攻略本・第一層ボス攻略編』であり、勿論0コル販売だ。
会議は即座に一時中断され、皆揃ってパンフレットを買い、しばしの間皆無言で読みふけり始める。
……グザだけは、パイプから口を放して煙を吐く際、小さく声を混ぜていたが、それ以外に声音など無い
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ