暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
四節・走破へはじめの第一歩
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
考えて心内で感心していた。



 だが他人事だと意識を集中していなかった彼は、次のディアベルの発言で体を伸ばしてしまう事になる。


「じゃあ、まずはレイドを組む為にパーティーを作ってくれ! 攻略作戦会議をしようにも、装備系統による役割分担をするにも、まず組んで貰わないと話にならないからさ!」

(なん……だと……?)


 オレンジ髪の死神が出る漫画や、笑わない最強主人公が出る小説の、特徴的な台詞を心の中で吐きながら、キー坊(仮称)は絶句した。

 今この場に居るのは45人であり、SAOではパーティーメンバの上限が6人である事を踏まえると、合計7つまでが限度で三人余る計算だ。
 また均整を取りに行くならば、6人と5人パーティーをそれぞれ4つづつ作る必要がある。


 何とか進言しようと意を決して立ち上がる彼だが、彼の様なソロプレイヤーはやはり珍しかったか、元から組んでいたかのように、ディアベルの発言から瞬く間に6人七つのパーティーが出来上がってしまう。



 一緒にやろうと言われなかったのは本当に自分一人だけだったか……キー坊(仮称)はそう思いかけ―――しかし同じくアブれている二人を見つけた。
 ……だが、彼の顔が少し歪む。


 
 その内1人が刺青半裸の長身男・グザ、もう一人がフーデットケープを目深に被った名称不明の少女だからだ。
 彼女もフードの所為と、男しかいない現状から、周りからは小柄な男性としか思われていないだろうが、圏内に入ってまで顔を隠している時点で怪しい。


 詰まる所、見るからに異色な二人しか残っていなかったので、キー坊(仮称)は顔をしかめたのだ。


 それでもあぶれ続けてボス戦から外れるよりはマシだと、まずはフーデットケープの少女に近付こうとして……


「よ、組まんかい? 少年」
「うぃっ!?」


 何時の間に接近したのやら、死角になっていた斜め右からグザの声が聞こえてきて、キー坊(仮称)はビクッと肩を竦めると、ギギギと音がしそうなぎこちなさでゆっくり顔を傾ける。


「グ、グザか……」
「おうさ。で、組まんのかい? まぁ組むしかねーと思うがね、この有様じゃあ」
「ま、まあな……」


 多少カクつきながらもパーティー参加申請をだし、もう決まっていた事だからと、グザは表示が出るかで無いかの速さでクリックしOKを出す。

 キー坊(仮称)のHPバーの下にやや小さいHPバーが現れ、その下にはカタカナ2文字だから仕方ないものの、それでもえらく短く《guza》と書かれていた。


「へぇ、キリトかい。よろしくな」
「……ああよろしく、グザ」


 グザも彼の名を確認する為か、少年と改めて挨拶を交わした。


 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ