第十一話 十二月
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は、何故、ヘヴンが、あそこまで俺に的確なアドバイスを与えてくれたのかということ。
こうなることをわかっていたのか?
いや、それ以前に、なんでアイツの攻撃の仕方まで予測できたんだ?
そして三つ目。
あいつの目的だ。
単純に俺にデュエルを申し込んで戦いに来ただけとは、どうも思えない。
今回は俺が勝ったものの……。
何か裏があって、俺にデュエルを仕掛け、仲間に引き入れようとしていたように見える。
もちろん、それが何故かは、今となっては知る余地も、興味もあんまりないが……。
そう思っていると、玖渚とシャムが俺へと近づいてきた。
「やったじゃん、アルス! 危なかったけど、あんな無茶なやつによく勝てたね!」
そう言って、玖渚は喜びを体全体で表した。
「お疲れ様。 とりあえず体力を回復しておいた方がいいよ。 ここはまだダンジョン内だからね」
そう言って、シャムは俺に回復アイテムを差し出してくる。
俺はそれを素直に受け取り、そのまま使い、HPを全快にしておいた。
「おう、ありがとう。 それじゃあ、狩りを続けるか」
俺はそう言って、再び、狩りに戻ることにする。
それと同時に。
ヘヴンの元へと行き、素直に。
「ヘヴン。 ありがとうな。 助かったよ」
感謝を口にした。
すると、ヘヴンは無言でこちらを見た後。
「なんだ、らしくないことを言うな。 これでは私がラノベのヒロインよろしくデレろと言ってるようなものだろ」
そんなことを、冷静な口調で言った。
「いや、もうラノベの話はいいだろ……。 というかお前ヒロインになりたいのか?」
呆れながらそう口にすると。
「自意識過剰もいいところだなアルス。 お前は主人公にでもなったつもりか」
そんな、可愛げの全くないことを言ってくれた。
ホント、コイツは、コイツから言ってきた癖に……。
「冗談キツいな。 俺は主人公じゃねぇよ。 俺はたぶんこの世界がラノベかなんかだったら――――」
そこで一度区切った後。
「多分、物語に名前すら出ない。 モブ以下の、二次創作の登場人物みてーな存在だぜ」
そんなことを、言ってやった。
それを聞いて、ヘヴンは嫌味な笑みを浮かべながら。
「そうだな。 我々にはそれがお似合いだ。 1にも、−1にもならない。 1からも、−1からも認識できない0の存在。
お前の入っているギルドの名の通り、『ディラック』なのだろうからな」
それだけを口にして、狩りへと戻る。
……まぁ、きっとそうなんだろう。
俺達は、きっと表に出ることはない。
俺達がやっていることはただの一般プレイヤーの遊戯で、喋ったことは戯言だ。
年末の今。
一年経過をし、新しい年を俺達は迎える。
認知されないまま。 表舞台に立てな
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