第十一話 十二月
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12月24日。
クリスマスイヴの今日。
俺はエロゲーやギャルゲーの主人公よろしくヒロインと甘い日々を過ごしているわけもなく。
「っしゃっせー!」
何故か、酒場の店員をやっていた……。
しかも周りはカップルが多い。
通常、ここでラノベ脳の人間ならば、従業員の子とフラグが立つとか思ったりするだろうが。
残念ながら、今この酒場の従業員は全て男である。
どうでもいいが、俺はノンケだ。
そういう趣味はないし、別に好んでこんな状況になってるわけじゃない。
そもそもこうなった原因は、天乃にある。
先日、まぁ23日の昼。
唐突に、天乃に頼まれたのだ。
「ごめん、明日は店手伝って、ホント、人手足り無すぎてヤバいんだよ」
そんな言葉に、俺は疑問を覚える。
「人手足りないって、桜花とかレイカがいるだろ」
当然の如く俺がそう口にすると、天乃は肩を落としながら言葉を放つ。
「いやね……ウチの女性陣は、明日みんな予定あるみたいなんだよね……。
レイカとスユアは女子会とか言ってパーティ行くらしいし、玖渚は明日はサンタさんが来るから早く寝るとか言い出すし……」
サンタさんが来るって……。
ここゲーム内だぞ。
まぁイベントでそういうのがあるかもしれないけどな。
この頃NPCがそういうイベントの情報を言ってたし。
情報屋と繋がってる玖渚ならもっと詳しい情報とか知ってるんだろう。
どっちにしろ、今回のイベクエは俺はあんまり興味ない。
クリスマスだからって盛り上がる歳でもないしな。
そんなことより、だ。
「桜花はどうした? アイツなら嬉々としてやるんじゃねーの?」
俺がそう口にすると、天乃は深いため息を吐いた。
「アイツは、この季節になると血が疼きだすとか言って、ここ数日は部屋に篭りきりだ。
なんか気持ち悪い本書いてる。 一回見せてもらったけど、理解の範囲を超えてた」
……なんとなくわかる自分が嫌になるな。
少なくとも数日は桜花に近づくのは危険すぎる。
ネタにされたらたまったもんじゃないからな。
「クーレイトとガンマさんは……いや、アイツらはやめておくか」
そう、あの二人とは、どうもスラムの一件以来、距離を取ってしまっている。
クーレイトもショックを受けていたようだし、ガンマさんも励まそうと必死だ。
時間が経った今でさえこれだからな。
暫くはそっとしておくのが得策だろう。
「まぁそんなこんなで、ウチのギルドで頼れるのはアルスだけなんだよ。
クリスマスくらい休業しようかとも思ったんだけど、ちょっと前から常連のお客さんから予約とかが入ってるんだよ……。
流石に断れない状況なんだよ」
……そう言われると、まぁ、そうなんだろうな
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