思いと望み
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かと、顔で振り向こうとした途端。
「なっ……、あ!?」
レゾネクトの牙に、首筋を、咬まれた。
皮膚を突き破られた鋭い痛みに、冷えた背中が跳ねて反る。
…………何かが、私の中に入って、くる……?
「……やめ……て……」
これは、なに。
記憶。
誰かの記憶?
痛い。
苦しい。
胸を締めつける、誰かの叫び声。
かつての私とよく似た、絶望と渇望の悲鳴。
「い、や…………! やめて、レゾ……っ」
レゾネクトが私に、誰かの記憶を流し込んでる。
幼い子供の悲嘆が、絶叫が、頭の奥で反響する。
荒れた大地に一人きりの、小さな……
「……あ、ああ……────っ!!」
レゾネクトが牙を抜く。
解放された体が膝を折り、正面から地面に転がった。
…………何故?
どうして私に、こんなものを見せるの、レゾネクト…………
荒れた大地に一人きりで立つ、小さな影。
暁の空を睨みつける小さな、小さな男の子。
やがて地平線に昇った白光が。
闇に埋もれていた短い黒髪と金色の虹彩を、鮮やかに照らし出した。
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