暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
思いと望み
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
かと、顔で振り向こうとした途端。

「なっ……、あ!?」

 レゾネクトの牙に、首筋を、咬まれた。
 皮膚を突き破られた鋭い痛みに、冷えた背中が跳ねて反る。

 …………何かが、私の中に入って、くる……?

「……やめ……て……」

 これは、なに。
 記憶。
 誰かの記憶?

 痛い。
 苦しい。
 胸を締めつける、誰かの叫び声。
 かつての私とよく似た、絶望と渇望の悲鳴。

「い、や…………! やめて、レゾ……っ」

 レゾネクトが私に、誰かの記憶を流し込んでる。
 幼い子供の悲嘆が、絶叫が、頭の奥で反響する。
 荒れた大地に一人きりの、小さな……

「……あ、ああ……────っ!!」

 レゾネクトが牙を抜く。
 解放された体が膝を折り、正面から地面に転がった。

 …………何故?
 どうして私に、こんなものを見せるの、レゾネクト…………


 荒れた大地に一人きりで立つ、小さな影。
 暁の空を睨みつける小さな、小さな男の子。

 やがて地平線に昇った白光が。
 闇に埋もれていた短い黒髪と金色の虹彩を、鮮やかに照らし出した。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ