暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
思いと望み
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い約束だわ!!」
 崖の上……クロスツェルを落とすつもりなの!? 時間を止めている間に怪我はしない。でも、レゾネクトは時間を操れる。もし動かしてしまったら……!
 「レゾ……ッ!」
 数歩先に歩み寄った所でレゾネクトの姿が消え……
 違う。
 空間を跳んで、私の背後に回った。
 両腕を封じる形で後ろから抱えられ、何をするのかと顔を向けようとした途端。
 「な……っ」
 首筋を、咬まれた。
 皮膚を突き破られた痛みに、冷えた背中が反る。
 ……何かが、入って来る……?
 「……やめ……て」
 これは、なに。
 記憶。誰かの記憶?
 痛い。
 苦しい。
 胸を締め付ける誰かの叫び。
 かつての私と被る……悲鳴。
 「い、や……やめ、て」
 レゾネクトが私に誰かの記憶を流し込んでる。
 幼い子供の叫びが頭の奥で響く。
 荒れた大地に一人きりの、小さな……
 「……あ、ああっ!!」
 レゾネクトが牙を抜く。
 放たれた体が膝を折り、地面に転がる。

 ……何故?
 何故、私にこんなものを見せるの? レゾネクト……。

 暁の空を睨み付ける、黒い髪の小さな小さな男の子。
 やがて地平に昇った白光が、金色の虹彩を照らし出した。


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